あもん史 第五十一章 母校 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

あもん達は舞台を降り体育館を出た
海田高校応援団を受け継いだあもん達は
母校の校門の前に並んだ
第30代幹部と第31代応援団が対峙して並んだ
第31代応援団の後ろから母校があもん達を見つめていた


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ここで応援団は団旗の受け渡しをする
旧団長から新団長へ手渡しで団旗を受け渡し
あもん達は海田高校応援団では無くなるのである
あもん達の意志を受け継いだ新幹部の顔立ちを眺めてみた
数か月前までは応援団では無かった第31代幹部ではあるが
彼らの顔からは大きな意志を感じられた
あもん達がやり遂げたこと、そしてやり遂げられなかったこと
それらを綴った文章は彼らには渡さない
何故なら文章には綴れない応援魂が彼らには伝わっているからである
そして海田高校応援団が先輩から後輩へ最後に伝える言葉は


やはり『押忍』である

(各団員のどアップ動画をお楽しみください)


第31代応援団よ
自信を持つのは後からで良い
今、君達が持たないといけないのは
目の前にいる先輩を超えるという意志である


あもんは彼らの瞳を見た
そして、彼らなら大丈夫だと思った

応援団の別れに涙は要らない
応援団の挨拶は『押忍』だからである
応援団は最後に『押忍』と挨拶をして別れるのである



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『広島県立海田高等学校応援団』

押さえ忍ぶと書いて「押忍」と言う
こんな言葉はいったいどの教科書に載っている
ここでは教職試験に受かった先生たちは
育てることができない
僕たちは伝統に育てられた


口から口へ伝わること
声援、躍進、魂、信頼、朋、
情熱、没我、魅力、道、
そして馬鹿
この言葉を僕たちは叫んでいた
仲間に、学友に、先生に、社会に
汗が飛び散り 喉から血を吐き
全てに向かって叫んでいた
立ち向かう黒幕はいったい何?
そんなことを思いつつ 
あえて口には出さない
いつだって怖くなかった
前に後ろに隣にいつも
仲間がいたから
ぶつかり合った仲間がいたから


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なにゆえ 
獰猛な日差しのもとで学ランを着る
なにゆえ 
凍てつく冬の水溜りを裸足で通る
なにゆえ 
声変わりした声をかれさせるまで叫ぶ
なにゆえ 
主人公を引き立てることに必死になる
そんな疑問を忘れてしまうまで
僕たちはエールを送り続けた
ランナーズハイを味わったその先には
涙を流すことでしか表せない感動があった
止まらない涙は宝石のように輝いていた


人に声を伝えること
人を声で動かすこと
人に心を伝えること
人を心で動かすこと
いくら血と汗を流しても
伝わらない己の力を思い知り
一人の無力さをしみじみ感じた


一人の団員の拍手よりも
十人の観客の拍手を
一人の団員の声よりも
十人の観客の声を
こう気づいた僕は
本当の拍手喝采を聞くことができた
やっと応援をすることができた


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僕たちは目立ってはいけない目立ちたがり屋
永遠に主演優秀賞はもらえない馬鹿な脇役
だから 僕たちを見るな
だけど 僕たちを感じろ
そして 君たちも叫べ
いつも 僕たちと一緒に


応援とは何かを語り合った
一人の人が一つのことを成し遂げるとき
一人ができることはたった一つ
だから
二つのことを成し遂げるには
もう一つのことがいる
それは
お金ではない 力ではない 知識ではない
「がんばれ」という ひと言
それは心から生まれてくる
偽りのない応援歌


あの頃 噛んで 噛んで 
噛んで 噛み締めた
あの頃 見つめて 
求めて 手を伸ばして 
追い続けた
いまごろになって 
味が出てきた


広島県立海田高等学校応援団 万歳


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あもん詩集~ティーンに捧げる宝物~より


あもんは目の前にいる母校を見上げた
どんな悪ガキでも優等生でも不登校生でも
誰でも平等に守ってくれている母校
子を育てるという尊きも難しい使命を
母校は何十年も続けている
そんな母が居てくれたからこそ海田高校応援団は生まれ
そんな母が居てくれたからこそあもん達は育った
いつも優しく、時に厳しく
とても大きく、愛に満ちた広島県立海田高等学校は
あもんが息絶えるまで母で居てくれるであろう
だからあもんは母の言葉を生涯忘れない



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広島県立海田高等学校
校訓


ひとつ
学園の一木一草に愛情を寄せる
ひとつ
自己の天分を限りなく伸ばす
ひとつ
己を見つめ 他を敬い 共に歩む


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あもん達は母校にエールを贈った

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フレー
フレー
海田

おりゃぁぁぁぁあ

フレフレ海田
フレフレ海田


あもん達はちょっぴり成長した自分たちを
母に見てもらいたかったのである