あもん史 第四十八章 白熱 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

応援団は凛と立ち尽くしていなければいけない
何があっても凛と立ち尽くしていなければいけない
校庭の隅での練習中
野球部の硬式ボールが当たりそうになっても
『アブね!』と言って避けてはいけない
冬の裸足での練習中
立ち位置が不覚にも凍った水たまりの中であっても
『冷やッツ』と言って動いてもいけない
体育館での練習中
目の前でレオタード姿の新体操部がストレッチをしていても
『ニヤッつ』と顔を崩してもいけない



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(一番手前があもんです)


応援団が応援団である限り
学ランに袖を通したからには
凛としていなければいけない


しかし学ランを脱ぎきった瞬間
応援団は高校生に戻る
自己責任のもと一般の高校生に戻る


あもんももちろん高校生である
『お~いテニスしようぜ!』とか
『家政科の教室に一回入ってみたいな~』とか
『次はバトミントンしようぜ!』とか
『あそこの場所はビル風吹くからスカートがよくめくれるんだ』などと
ごくごく普通の高校生を過ごしていた


応援団の練習で白熱した後には
カラオケでこの唄で白熱したものである


THE BLUE HEARTS
『ロクデナシ』




あもん達第30代応援団は今まで幾つかの伝統に挑み壊していった
それがあもん達の挑戦であり愉悦であったからだ
引退も迫ってきた9月
あもん達は何かもうひとつ新しいものを創りたかった
今までどの代でもチャレンジしていない斬新で心踊らす伝統を創りたかったんだ
幹部が部室に集結した
この時は男幹部4人だけの会議であった
あもん達は話し合った
団長の決断により新たな伝統を決行することが決まった





THE BLUE HEARTS
『終わらない歌』



日時は9月末の祝日
あもん達の引退の場である
「第31代発足記念演舞」まであと一週間と迫った日である
あもん達幹部は悔いを残さぬよう日々を白熱した
あもん達は応援団を受け継ぐ後輩と白熱を注いでいた
練習が終わり
女子が帰った
静まり返った部室の前で
『よし やるか』という団長の声で「新たな伝統は始まった」


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新たな伝統のルールはこうである
1.男子全員机の中やベットに下に隠してある大事な男子本を提出すること
2.お気に入りも失敗作も全て提出すること
3.勝負はじゃんけんで決め勝者から1冊ずつ獲得すること
4.この勝負が始まるまで決してこのことを口に出してはいけないこと
5.この勝負が終わっても決して遺恨は残さないこと



白熱した勝負が始まった
この勝負は皆が平等である
ここでは先輩後輩の関係は消去され
団長命令も使うことはできないのだ
ただ単にじゃんけんに強いものが
他人の使いきりを獲得しても良し
自分のお気に入りを獲得しても良し
ここではじゃんけんが強いものが1番なのである


白熱‥物事が最高潮に達することである

Red Hearts
『キスしてほしい』


(当時の女子はこんな風に歌ってくれなかった…)
(ある意味それでよかったのだと思う…)



あもん達高校生は白熱をした
今晩の己との白熱戦に向け白熱をした
歓喜と嘆願、興奮と悲哀
様々な感情が交錯した
大切なものを守る意志と
新しい世界への憧れを胸に
あもん達は白熱した男の戦いを戦ったのである



最後の一冊になった時
あもん達は次の勝負をためらった
あもん達は意気消沈をしたからだ
最後まで残った一冊は
あもん達高校生にはハードルの高い
「ビニールチックな本」であったからだ
元持ち主は団長たっひーである
『やめるか』という誰かの一言に皆が賛同をした
此処では団長絶対主義は通用しない
あもん達はこの最後の聖本を柔道部の伝統箱に奉納をした
これからの後輩のために奉納をした


こうして第30代応援団が創った最後の伝統が幕を閉じた
あもん達は後輩たちにこう伝えたかったのだ
『男子よ 熱い血潮を沸かせ 魂を奮い立たせ 潔く飛び放て』と


この伝統は17年たった今でも確実に受け継がれているらしい
本からビデオにビデオからDVDに変化はしたが
第30代の熱い想いはまだ消えてはいない



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(手前からあもん,EIG,ボブ西,たっひー,Q,よっしー,イグリ,カズ,ベジータです)

『エロ本バザー』
第30代応援団が最後に創った
海田高校応援団の伝統である