あもん史 第四十二章 男女 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

応援団は硬派である
中ランとドカンを着ている時は硬派である
中ランを脱ぎ短ランに着替えると
応援団は興味心旺盛な普通の高校生である

気になる女子がいる教室の前を通りチラ見してみたり
ビル風が吹き込む風の悪戯スポットを一日に何回も通ってみたり
評判の高い野球部のマネージャーの近くでエールの練習をしてみたり
あもん達は物事を覚えたての幼児のように興味に真正面から挑戦していた

しかしあもん達は中ランを脱いだ時であっても応援団である
決して、ハレンチ学園の入学式には行ってはいない
その戒めとして応援団は
短ランにも応援団バッチをつけることを義務化しているのだ



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あもんは当時の彼女に言った
『この曲、聴いてみんちゃい。ぶちええで~』
『この曲こそ究極のラブソングじゃけん!』


長渕剛
『I Love you』





『全然、違うけん!!』

彼女は少しツンとして言った
あもんは時折、興味心が暴走していたらしい



海田高校は共学であった
海田高校の前身は女学校であり
その名残で今でも普通科と家政科がある
あもんの学年は家政科が2クラス、普通科が9クラスであった


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つまり、学ラン姿よりもセーラー服姿のほうが多い比率であった

しかし、学校側もよく考えているのである
あもん達の興味心暴走を避けるために
家政科のクラスは少し離れた所にあったのだ
だけど、教室移動のときはいつも家政科の教室の前を通る♪


家政科の教室のある廊下はいつもいい香りが漂っていた
だけどそこには目に見えないバリアが張っているみたいで
赤面症口下手あもんはこの扉の先にある花園へ土足で踏み込むことは出来なかった
噂によると、この花園では
興味津々男子高校生でも思わず目を塞いでしまう光景が広がっていたらしい
秘密の花園は秘密であるから花園であるということを学んだ


よって海田高校では校庭のどこへ行っても花園の香りが漂っていた
男らしい酸っぱい香りが漂っている
応援団、空手部、柔道部の部室が連なるこの危険地帯でも
数少ない応援団女子団員が
花園の香りでうまく中和してくれていたのである






ミッキーという女子応援団員がいた

彼女は海田高校応援団第30代女子リーダー部長であった
海田高校の女子団員はチアリーダーが主な役割である
バトン、ボンボン、フラッグ等により
酸っぱい男子演技を中和させる役割を持っている
しかし彼女らも立派な応援団員であるため
団則を重んじ規律を尊厳する
『押忍』という挨拶や『素振り』という基本演技の練習や
『レッツゴー拍子』『三・三・七拍子』『勝利の拍手』などの演技のバックもする
女子の正装であるセーラー服に白手袋を履き
観客の前で応援団として大声で叫ぶのである


そんな海田高校応援団の長い歴史の中では稀に
男より男らしい女子応援団員が誕生することがある


第30代応援団もそんな女子団員を誕生させたのである
それがミッキーである






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(この写真はミッキーではありません!)
(ここまでかわいい娘はいませんでした!)


ミッキーは他の女子が殆んど意見を言わない幹部会にて
女子団員を代表するかのように男子幹部に意見をする

我らが団長たっひーにミッキーは言った


『たっひーねーあんたいつも何しよるん!?』
『あんたがしっかりしとらんけん、ウチら駄目なんじゃない!』
『あんた団長じゃろ!しっかりしんちゃいや!』


ゴーイングマイウェイなあもんにミッキーは言った

『あんた何でいつも一人で勝手なことするん?』
『あんたの目指す応援道は分かるけど、あんた一人の30代じゃないんよ!』
『たまにはウチらにも相談しんちゃいや!』
『あんた一人で何でもできる思うたら、大間違いじゃけん!』


何か壁にぶつかった時、朝まで語ろう会をよく主催していたEIGにミッキーは言った

『なんでいっつも男だけで集まるん?』
『ウチら女じゃけどウチらも応援団なんよ!ウチの応援道もたまには聞いてや!』
『身近な女子のこと理解できんのにどうやって大応援団創る気ね!』
『そりゃぁ無理じゃろ!』


中途で応援団に入団し間もなく副団長になったボブ西にミッキーは言った

『なんか自信なさげじゃね~じゃけど、あんたは副団長なんよ!』
『たっひーがおらんなったらあんたが団長なんじゃけんね!』
『嘘でもいいけん、背筋伸ばすんよ!ウチはあんたに期待しとるけん!』




ミッキーはあもん達男子幹部を
いつもほっとかなかった


楠清四郎
『ほっとけないよ』



たっひー以下30代男子幹部は徐々にミッキーの存在を重んずるようになった
女性目線から応援団をあもん達はミッキーに尋ねた
その反面、男性目線から見たチアリーダーをミッキーに伝えた

『えっつ!そうなん』
『そうじゃろ~』
『全然ダメじゃん!』
『ぶちはがえ~け~』
『こうすりゃ~ええよ♪』

男女幹部の中でこんな会話が多く飛び交っていった

あもん達の卒業式となる文化祭まであと一ヶ月弱の頃であった
あもん達の理想とする大応援団を創り上げていく上で
確かな手がかりを感じた時でもあった





あもん達男女応援団幹部は

恋人以上母親未満の間柄になっていった









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(この写真はミッキーではありません!)
(この写真はガッキーです!)





高校卒業後
ミッキーは女子幹部の中で2番目の速さで結婚をした
子を産み離婚し、今は病院で看護士道を極めている


あもん達にとってミッキーは
街で偶然出会っても堂々とハグできる
数少ない女同志である




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(がっつりピンボケしているのがミッキーです)