あもんの宅急便
2009年12月27日
人間は卒業と入学を繰り返し生きている
13歳となった満月の夜
キキは新たな街へ入学をした
できるだけ知らない街がいい
そう言ったキキは強い少女である
強い人間だって弱い時もある
新しい街でのキキは挫折に直面した
他人は“苦しかったら誰かに頼れば?”と言うが
頼る人なんていないじゃない
甘える人なんていないじゃない
そう言って泣いた時もあったけど
キキは今できることからやることにより強くなった
誠の心と誠の意識を手に入れて
キキは一人前の魔女になったのだ
聞くところによると最近、双子の母親になったらしい
13歳の少女が強くなっていっているのに
あもん達、大人は何をしている?
目の前に現れる波に向かって
漂流しそうだから逃げようとか
クルーザーを買えばいいのだとか
今の強さに甘んじて弱い人間へと退化している
大人だって卒業と入学を繰り返さないといけないよ
あもんは知らない街へと行ってみた
多国籍の入口があるこの街ではやはり入学生が多かった
夢と希望が膨らました風船を持てば足は軽やかになる
未来への約束は此処ではできないけれど
今歩いている足跡は決して消えることは無い
転んでしまった時
立ち上がるために必要だからね
今はまだ見上げるばかりで
あの向こうにあるお城は僕のものではない
だけどいつしか望むんだ
僕らの歩いた道は困難だったけど面白かった
僕らの信じた道は険しかったけど間違ってはいなかったと
僕らの丘から望むんだ
この街で入学式を終えたばかりのこのカップルは
そう思っているに違いない
人間は卒業と入学を繰り返し生きている
あもんはこの街を眺めた
この街も毎年卒業と入学を繰り返している
1995年1月17日
あもんはこの日をこの街の卒業式だと考える
この街は生まれ変わったと耳にするが
この街は決して死んではいない
卒業とは
ひとつ強くなること
入学とは
ひとつ歩みだすこと
あの卒業式では悲しみの雨が多く降ったが
あの瞬間に間違いなくこの街は強くなっている
そして新しい街を創るために入学もしているのだ
明日への入学
明日はきっと、きっと幸せになるための入学
泣きたくなったら、泣いてもいい
悲しいことは忘れないほうがいい
だけど明日は笑って、笑って
冷たい冬にだって咲く花はあるんだ
その花は人の涙が咲かせる花なんだ
『なみだ』
あもん詩集~スナフキンにあこがれて~より
此処の地下には多くの方々の名前が刻まれている
生きたくて生きられなかった方々の名前が刻まれている
この名前が永遠にここにあるから
この街は毎年、卒業と入学を繰り返すことができる
そう、永遠に…
永遠の時っていつまで続くの?
悲しい時、人間はこの疑問符を投げかける
人間は苦しみを時の仕業にする弱さを持っている
だけど楽しい時
永遠の時をくださいなと嘆願書を書く
たとえ自分が止まっていても
一秒一秒確実に刻まれるのなら
いっそ時を味わえばいい
刹那まで味わうことができたなら
人間は幸せになることができる
『時のおいしさ』
あもん詩集~ティーンに捧げる宝物~より
人間は卒業と入学を繰り返し生きている
あもんも卒業と入学を繰り返している人間である
だからこれから卒業していく皆さんの手を握り
入学先へと導くことはできない
だけどあもんは表現者である
これから卒業していく皆さんに
贈ることはできるのである
あもんの贈り物
それはことばである
漂流しないことばである
頼れる人がいないのなら
ことばに頼ってもいいのだ
甘える人がいないのなら
ことばに甘えてもいいのだ
それがあもんの
あなたに届ける宅急便である
出演
あもん
朗読
あもん
演奏
あもん
演出
あもん
撮影
あもん
脚本
あもん
編集
あもん
監督
あもん
制作
あもんがいっぱい制作委員会
スタジオあもん作品