1994年 あもん 大学1年生
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あもんの友達がこう誘った
『ねぇねぇ あもん ぶちいい曲見つけたんじゃ~ よかったら聴いてみんさい』
友達が差し出したのは『Mr .Children CROSS ROAD』
『ふ~ん なんか男らしくない歌じゃのう』
あもんの感想はこうだった
当時のあもんは純粋な長渕信者
彼の唄をCD音源が悪くなるまで聴きまくっていた
走り屋だった別の友達の車からは『Survuval dAnce」が流れており
彼女がいた別の友達はカラオケで『Get Along Together』を唄っていた
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『お前ら! 男なら長渕を聴け! 長渕の“人間”という曲を聴け!』
『もしくは、THE 虎舞竜の“ロード第2章”で涙しろ!』
そう心の中で叫んでいた19のあもん
やさしい男は女々しいと書き、男らしく吠えるのが男である
なんて理想なる男性像を描いていた未熟児あもん 19歳だった
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どうやら、ミスチルには一目惚れはしなかったようだ
でもなぜかこの歌だけはいつの間にか口づさんでいた
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『Mr .Children 星になれたら』
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2003年 あもん 社会人6年生
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社会の大波に必死に抵抗し、『波乗りなんかしてたまるか!』と声枯れるまで叫び
結局、大海原にのまれ、溺れ、意識をなくし、あもんは過労で倒れた
あらゆるこだわりが波に流され、おまけに海パンまで無くなってしまい
目の前に在ったのは真白な世界
真白な世界が初めて見えたその感想は『何も感じない‥』だった
時間つぶしの為に見ていたTVではこの曲が流れはじめた
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『Mr .Children くるみ』
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なぜか、悔しくて、そして、懐かしくて、涙が流れた
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どうやら、あもんはミスチルが好きになったらしい…
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Sign,四次元,箒星,しるし,フェイク
うん、ウン、分かるよ‥分かるよ!ミスチルさん!
ミスチルのファンとなっていった
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2007年 あもん 詩人10年生
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『ティーンに何か伝えなさい』と島国からお告げを頂き
がむしゃらに夢中に伝え続けていた
ティーンを上目線からと下目線から眺め、ことばを探す旅に出ていた
押入れの中や便器の裏、父親の靴の中までことばを探す日々
そんな時にミスチルから伝えられたメッセージがこの詩だった
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『Mr .Children 旅立ちの唄』
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♪とりあえず「さようなら」
『ん、なになに とりあえず ってなんだよ ミスチルさん』
♪疲れ果てて足が止まるとき 少しだけ振り返ってよ
手の届かない場所で 背中を押しているから
『それだよ!それだよ!その言葉だよ』
『あもんが探していた言葉はそれだよ~ しかも“手の届かない場所”ってのが、ぶちかっこいいじゃん!!』
♪でも 返事はいらないから~
『ウォー!! これじゃ!これじゃ! これがあもんがみんなに伝えたい“人間愛”なんじゃ~』
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あもんは興奮すると広島弁が露わとなる
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いつの間にか鳥肌が立ち、大粒の涙が流れていた
そして、あもんは
惚れた
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ミスチルに惚れた
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あもんは決して『どんだけ~』という口癖もないし、『言うよね~』というマシンガンも持ってはいない
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だけどミスチルに惚れた
男が男に惚れた
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あもんは心に響く詩に出会ったとき、負けじと返詩を綴る癖がある
しかしこの“旅立ちの唄”には返詩はしない
なぜなら、ここに綴られている言葉は“たったひとつの言葉”だからだ
カップルだけではない、家族だけではない、面識のある人だけではない
人間が人間に捧げる人間愛に必要な“たったひとつの言葉”だからだ
そしてなにより
あもん自身が手の届かない場所で背中を押されているからだ
だから、返事はしないこととするんだ
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☆
この春
巣立っていくティーン達へ
あもんの力は小さいけれど
あもんはあなた達の背中を押し続ける
返事はいらないよ‥