……いてぇ……
なんだってこんなに身体中が痛いんだろう。
少しでも楽な姿勢になろうと寝返りを打とうとして、右手首の熱に気がついた。
……なんだっけ?
昨日は何か考えながら寝た気がするけど……
「うぅん……」
「ふわぁ……」
重なった声に目を開けたら、至近距離でもう1組の目が開いて、ぱちぱちと2回、瞬きをした。
……
…………
「「ええぇぇぇぇえ?!!!!!」」
同時に叫んで、ベッドの上で飛び起きた櫻井さんと、自由になった右手を後ろに振り回して、床の上に倒れた俺。
「あ、あい…ばくん……大丈夫?!」
「だ、大丈夫っす」
慌てて立ち上がった俺を、櫻井さんが申し訳なさそうに見上げる。
「もしかして、もしかしなくても……昨日、迷惑かけたよね?」
「いや!全然!俺もかなりいい感じにできあがってたんで!」
ここでようやく、自分の置かれた状況を思い出した。
昨日、かなり酔っていた櫻井さんのスーツを寝る前に脱がしてあげなきゃって思ってたのに……俺もだいぶ酔ってたから、そのまま一緒に寝ちゃったんだ。
「記憶飛ぶほど飲んだの、久しぶりだなぁ……」
凛々しい眉毛をへにゃっと下げて笑う櫻井さんに、どきんって心臓が小さく音を立てる。
櫻井さんに掴まれていた右手首がまだ、じんじんとあたたかい。
……酔っていたせいだと思ってたのに……
「相葉くん?大丈夫?具合悪い?」
「え?あ!いや!なんかぼーっとしちゃって……!!」
「床で寝てたもんな、相葉くん。ちゃんと寝れてないんじゃないの?」
……やばい
…………やばい
………………やばい
いや、やばいなんてもんじゃない。
否定したいのに、否定出来ない。
……まさか俺、櫻井さんに惚れちゃった?!
「ふ、風呂!風呂入りますよね?!俺、いまお湯ためて……」
バスルームに行こうと向きを変えた俺の右手を櫻井さんの手が掴む。
……心臓が飛び出すかと思った。
一気に頭に血が上って、一気に引いていく。
「さくらい……さん???」
「俺、やっぱ昨日……なんかした?」
そんな顔で、見ないでよ。
そんな困ったような心配そうな顔で、見ないでよ。
「な、なんかって、なんですか?!なんにもないですよ!」
「……そう?……なら、いいんだけど……」
ほんとに、惚れちゃうじゃん。
どんどん好きになっちゃうじゃん。
「どうせなら、大浴場に行こうぜ」
「へっ?!」
さっさと準備して部屋のカードキーを持った櫻井さんを追いかけて、慌てて準備をして廊下に出る。
けど、こんな状態で櫻井さんと風呂って……
めちゃくちゃ気まずいって思うのに、なんだか楽しそうな櫻井さんの背中がちょっと嬉しくて。
それに、櫻井さんの裸を見たら、この気持ちが勘違いだってわかるかもしれないって、そんなふうに思って……
「お先でーす!」
脱衣所で勢いよく服を脱いで、大浴場のドアを櫻井さんよりも先に開けた。