僕と修介さんの間に割り込んできたダイキチと六華ちゃんを撫でながら、修介さんを見つめる。
さっき触れたぬくもりは、ほんの一瞬で……夢かもしれないって思いながら、まだ感覚の残る唇にそっと触れた。
「修介さん」
同じ気持ちだって嬉しくなるのに、それなのに、修介さんは本当にそれでいいんだろうかって不安は消えることがなくて……
本当に僕でいいの?って確認した僕に、修介さんはまた優しく笑ってくれた。
「俺はお前が好きだって、お前が欲しいって、お前の隣にいたいって思ってるけど、お前はどうなの?
俺、オトコだけど、それでもお前のこと抱きたいって思ってるけど、それでいいの?」
「だっ……」
そんな先のことまで考えたことは無かったけど、キスしたってことは、その先だって、きっとあるわけで……
思わず見下ろした平らな胸に、また不安が過ぎる。
「俺は、達也の気持ちが聞きたいんだ」
優しいけど力強い声に顔を上げたら、真っ直ぐな瞳が僕を見つめていた。
また、修介さんの右手が伸びてきて、僕の頬に優しく触れる。
「自分のことはいつも二の次って、そういうことが出来るのってすごいことだし、人間として尊敬するけど……
でも、俺にはなんでも言って欲しいんだ。ワガママでもなんでも、俺には全部言って欲しい」
修介さんの言葉のひとつひとつがあったかくて、くすぐったい。
「くふふ、修介さん、かっこいい」
「へ?」
「ますます惚れちゃうかも」
「え?」
やっぱりこの人が好きだって
やっぱり、この人の隣にいたいって
そう、思うんだ。
僕の頬に触れている修介さんの手をそっと握った。
「僕もね、修介さんの事が好きなんだ。男だからとかそんなの、関係なく好きなんだ。
最初は優しい人だなって思ってた。
へにゃって眉毛が下がる笑顔も可愛いなって思ってた。
僕だけを見てくれたらな、なんてそんな風に思っちゃいけないんだって思ってたのに、その気持ちは止められなくて……
僕だって、修介さんが欲しいって思ってるし、修介さんの隣にいたいって、そう思ってるよ。」
「達也……」
「ワガママ、言っていいなら、さ……」
びっくりした顔の修介さんの頬に、僕も手を伸ばした。
「震えてんじゃん」
僕の手を握って修介さんが笑う。
「……だって、ドキドキしすぎて、おかしくなりそうだもん」
もういい大人、なのに。
もう、いい大人、だから……
ただ、楽しいだけじゃないって
色んなものがついてまわるって分かってるから
それでも欲しいと
それでも隣にいたいと
そんなふうに思える人に出会うなんて
「好きだよ」
「うん。僕も、好き……」
お互いに引き寄せあって重ねた唇は、さっきよりも熱くて目眩がするようで
「しゅ……」
呼んだ名前は、熱い舌に絡め取られて、消えていった。