「智くん!!」
しょーくんが怒ったような声をあげたけど、俺の手の中にいるそいつを見て、ちょっと待ってて!って叫んで走って行った。
「お腹、空いてないかな?」
「さっき落としたやつだけど……食べるかな?」
潤とかずが、さっきばらまいたスナック菓子をひとつずつ手に持って、恐る恐るそいつの前に差し出す。
「かぁ」
小さくそう鳴いて、潤の手からスナック菓子を食べて、食べ終わったら、今度はかずの手から食べる。
「うわぁ!かわいい!」
「もっと食うか?」
かずと潤が嬉しそうにそう言って、もうひとつずつスナック菓子を手に取った。
「カラスって怖いと思ってたけど、よく見ると可愛いんだね」
「こいつはホントにかわいいな!」
潤が恐る恐る、手を伸ばして頭をそっと撫でる。
「怪我してるんだね。どうしたんだろう」
左側の羽をうまく畳めないでいるそいつをみて、かずが顔を歪めた。
「急に落ちてきたんだよ」
かずと潤がぐるりと周りを見渡した。
「仲間、いなさそうだよね」
林の中はしーんと静まり返っていて、なんの鳥の鳴き声も聞こえなかった。
「お待たせ!」
しょーくんが息を切らして帰ってきて、ちょっとごめんね?って、そいつの羽に手を伸ばした。
「わ、暴れるなよ。消毒するだけだから、ちょっと我慢して」
しょーくんにじろりと睨まれて、俺もそいつの羽を伸ばすのを手伝った。
最初は嫌がってたそいつも、撫でていてやったらおとなしくなる。
羽毛があるから傷口がよく見えないけど……って言いながらしょーくんが慣れた手つきで消毒して、その後でそっとそいつの首を撫でた。
「よし、おわり。頑張ったね」
「かぁ」
「こいつ、大丈夫かな」
「ん、きっと大丈夫だよ。ここ、神社の裏だし」
しょーくんの言葉に、俺たちは首を傾げる。
「カラスって、今は不吉な鳥みたいに言われてるけど、昔は、神様の使いだって、神聖な鳥って思われてたんだよ。
ほら、サッカーのマーク知ってるだろ?八咫烏なんかは、神様として祀られてるからね」
「さすが、翔くん物知りだね!」
潤が嬉しそうな声を上げる。
「だからきっと、ここならこいつも大丈夫だよ」
な?って優しい顔でそう言ったしょーくんが、俺の手の中にいるそいつをそっと優しく撫でた。