「わー!鳴ってる鳴ってる!ちょ、ちょっと待ってー!」
お風呂から出て頭を拭いていたら、リビングでスマホが鳴っていて、慌ててバスルームから飛び出した。
名前なんて見なくたってわかる。
絶対にしょーちゃんからだもん。
「もっ、もしもしっっ」
『あはは!大丈夫?』
「だ、大丈夫っっ!」
『風呂入ってた?』
「あ、うん」
『ちゃんと頭拭いた?』
「……今、やってる」
なんで、分かっちゃうのかな。ごしごし、タオルを動かしながら、くふふって笑った。
『俺、やってやるから待ってて』
「え?」
いま、なんて?
「あ、ちょっと!しょーちゃん?え?もしもし?しょーちゃん?あれ?切れちゃった?」
無言になったスマホに、慌てて折電しようとしたら、玄関のチャイムが鳴った。
「あー!もう!はーーーい!」
しょーちゃんに折電したいのにー!って思いながらドアを開けて、そこに立つ人を見て、言葉を失くした。
「よ」
「……え……」
なんで?どうして?
びっくりしたまま、腕の中にふわりと閉じ込められる。
「会いたかったよ」
「うん。俺も……」
大好きなにおいとぬくもりに包まれて、目を閉じる。
「チャージ中?」
「うん。しょーちゃんチャージ中。もう干からびそうだったもん」
「俺も。けどさ、雅紀」
「うん?」
しょーちゃんがゆっくりと俺の肩を押す。
「離れてくれないと、キスできない」
「きっ……」
顎を掴まれて、しょーちゃんの唇を受け止める。しょーちゃんとのキスは、ドキドキして、気持ちよくて、それだけでどうにかなっちゃいそうで。
何度も何度も角度を変えて、しょーちゃんがキスをして、ちゅって、音がして唇が離れる。
「よし、髪の毛乾かそう。で、着替えて」
「え?なんで?」
「いいから、いいから」
しょーちゃんが洗面所からドライヤーを持ってきて、俺の髪の毛を乾かしてくれて、ほら、出かけるから早く着替えろって俺を急かす。
出かける?こんな時間にどこに?
そう聞いても、いいから来いって、しょーちゃんは笑うだけで。
「出発しまーす」
「お願いしまーす」
何が何だかわからないまま、しょーちゃんの車はキラキラ光る街の光の中を走り出した。