「片付けは俺やるから」
食べ終わった食器を流しに運んで、腕まくりをした俺を雅紀が後ろから引っ張った。
「いいって、俺がやるから!しょーちゃんはゆっくりお風呂入っておいで?」
明日からはのんびり入れないでしょ?って背中を押されて、いつの間にかお湯がはられてる風呂に入った。
「ほんっとに俺、なにしてんだろ」
本当に雅紀にしてもらってばっかりだなって、苦笑して湯船に沈んだ。
「あ!しょーちゃん!ごめん、開けるよ?」
「え?なに?!」
ドアの外から雅紀の声が聞こえて、慌てて起き上がる。
開ける?!開けるって言ったよな?!
ガチャって音がして、少しだけ開かれたドアの隙間から雅紀の手だけが入ってくる。
「温泉のモト、入れてあげようと思って忘れちゃった!」
「お、おぅ……さんきゅ」
「ごゆっくり~」
くふふふふって笑い声とともにドアが閉まって、はぁーってため息をつきながら、渡された袋の中身を湯船の中にいれた。
お湯の中にゆらゆらと広がる乳白色。
何焦ってんだろ、俺。
別に見られたって問題ないし……
雅紀が入ってくるわけもないのに……
一瞬それを期待しかけた自分にも、ため息が出る。
左肩に広がる、翼の模様。
一瞬しか見ていなくても、鮮明に記憶された雅紀の細い背中。
いつか自分が忌み嫌うそれを、躊躇わずに俺に見せてくれる日が来るんだろうか。
俺が、触れていい日が来るんだろうか……
空になった袋をぎゅって握りつぶして、浴槽のふちに置いた。
「そうできるようにしなきゃ、いけねぇだろ」
しっかりしろ、俺!ってお湯をすくって顔を洗った。