「カメラ、なんかチェックするから、ちょっと時間かかるって」
ドアを開けたしょーちゃんが、潤を睨むみたいにしてそう言った後、さっさと私服に着替え始めた。
潤はしょーちゃんを見て、それから俺を見て、にやりと笑って……俺の耳に顔を近づけた。
「ま、今日は色々頑張って?」
「なんだよ、いろいろって……」
近すぎる潤の顔を避けた俺の横を、しょーちゃんが無言で通り過ぎる。
「じゃ、お疲れ」
「え!待ってよ、しょーちゃん!」
閉まるドアに叫んだ俺に、はいって潤がカバンを渡してくれた。
「翔さん、意外と単純なんだな」
「もう!うるさいって、潤!」
ニヤニヤしてる潤を睨みつけてから、しょーちゃんの背中を追いかけようと慌てて飛び出した廊下にはもうしょーちゃんの姿はなくて……
その代わりに……
「あー!あいばさーん!」
正面から歩いてきて、にっこりと笑う噂の彼女。
「さっき、櫻井さんにもご挨拶したんですけど…明後日、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
足を止めた俺を上から下まで目だけを動かして見たあとで、またにっこりと笑う。
「相葉さんって、本当に私服もオシャレなんですね?……あっ、すいません。もう行かなくちゃ!明後日、楽しみにしてますね!」
……やっぱり苦手。
時間ないなら、俺のファッションチェックなんてしなくていいじゃん。
少し歩いたところで、彼女が振り返る。
「なんか、櫻井さん怒ってたみたいですけど、嵐のみなさんでも喧嘩したりするんですね?」
勝ち誇ったような顔で俺を見てから、くるりと向きを変えて歩いていく彼女の背中を呆然と見つめた。
なにそれ。
なんだよ、それ。
喧嘩なんかしてないっての。
エレベーターを待つ気になれなくて、階段で駐車場まで降りたら、すぐに近づいてくる赤い車。
助手席のドアを開けて乗り込む。
「ありがと、しょーちゃん」
「ん」
しょーちゃんは、俺を見ないままでアクセルを踏み込んだ。