ゲストハウスは自由に使ってねって、大野さんから鍵を受け取った。
ビールと美味しいワインと、雅紀が作ってくれたうまい飯と、大野さんの海外生活の話とか、いろんな話をして、かなりゴキゲンな俺。
「しょーちゃん、こっち。ねぇ、大丈夫?」
少し前を歩く雅紀が、心配そうに振り返る。
「何が?」
「酔ってるでしょ?」
……あぁ、酔っぱらいのオヤジに絡まれて、ホテルに連れ込まれそうになったって言ってたっけ?
「大丈夫。少し気持ちいいくらいだし。襲ったりしねぇから、安心しろ」
「そんな心配してないもん。足元暗いから気をつけてねって事だもん」
何故かちょっと怒った顔をして、雅紀が俺の手から鍵を取って、目の前に見えたコテージのドアを開ける。
なんだろ、俺、変な事言ったかな?
「うわ、オシャレ!」
「家具も全部、さとちゃんパパが作ったんだよ」
手慣れた様子で電気をつけて、明日の朝は各自適当にねって、貰ってきた食材を冷蔵庫にしまいながら、雅紀が俺を振り返った。
「しょーちゃん。俺、お風呂長いから、しょーちゃん先に入ってきて?」
お風呂はそこね?で、着替えとタオルね?って、渡されて、促されるまま、風呂へ向かう。
暑いし飲んでるから、シャワーだけ浴びてすぐに出たら、雅紀がびっくりした顔で俺を見た。
「お風呂、溜めなかったの?」
「飲んでる時はシャワーだけ」
「じゃあ、俺、入ってくるね?ベッドはロフトの上だからね?」
「はーい」
髪の毛を拭きながらメールチェックして、急ぎの案件だけより分けて、パソコンを取り出そうとして手を止めた。
……頭働かねぇ……
今日は仕事はやめよう。
スマホもカバンにしまって、ロフトに上がってみた。
背の低いベッドがふたつ並べて置いてあって、ベッドに転がると、ちょうど大きな窓から空が見える。
「わ、星すげえな」
星空見るのなんて久しぶりだな……なんだっけ、オリオン座とかそのくらいしか覚えてねぇや。
髪の毛、ちゃんと乾かさねぇと。
布団もちゃんと掛けねぇと。
山の中だから夏とはいえ夜と明け方は冷えるって大野さんが言ってた……
けど、あったかいな。
あったかいし、いいにおい。
髪の毛もふわふわで、気持ちいい。
……
…………髪の毛????
「うわ!ご、ごめん!」
慌てて飛び起きたら、俺の腕の中でうとうとしていた雅紀が目を開けてにっこり微笑んだ。