しょーちゃんの腕の中からするりと抜け出した。
「助けてくれてありがと」
「え?あぁ、うん」
「メンバーだもんね?」
「……ちが……」
目が泳ぐしょーちゃんをわざと下から見上げた。
多分好き、なんてそんなの……
要らないよ?
「もう1回、試してみる?」
「…え?」
「あの子、しょーちゃん狙いだよ?」
こっちへ向かって歩いてくる女優さん。今日のゲストさんだけど…
メイクさんが、しょーちゃんのファンだって言ってたよって、教えてくれた。
俺たちに気がついて、嬉しそうな顔をして会釈をする彼女は、俺から見たってすごく可愛らしくて。
「しょーちゃんとお似合いなんじゃない?」
あぁ、ダメだ。右側でしか笑えてない。
そんな顔して見ないでよ。
俺の言葉に傷ついたみたいな、そんな顔。
自分が悪いんじゃん。
俺のせいじゃない。
しょーちゃんみたいな石頭には、オンナノコの方がいいに決まってる。
恋愛して結婚して、子供が産まれて……
それでいいじゃん。
みんなに祝福されて、幸せになったらいい。
「彼女なら、いけんじゃない?」
「…本気で言ってんの?」
しょーちゃんの低い声。
「しょーちゃんこそ、本気で言ったの?」
俺のこと、多分好きだなんて……
本当に本気でそんなこと認めようと思ってんの?
認められないから、多分とか言ってるんでしょ?
認めたくないから、戸惑ってるんでしょ?
「俺だって、色々考えてるんだよ?」
本当は、誰にも渡したくなんてない。
けど、しょーちゃんには幸せになってもらいたい。
しょーちゃんが、幸せって笑ってくれるんなら、俺は何でもするよ?
戸惑って、悩んで、そんな怒ってるみたいな顔で俺と一緒にいるんなら、やめた方がいいんだって。
「……俺、最低だな」
しょーちゃんがため息をついて、頭をがしがし掻いた。
「ちょっと頭、冷やしてくる」
くるり、と背を向けてしょーちゃんが階段のドアの向こうに消えた。