鈴ちゃんの車を見送って、隣に停められていた見慣れた車を見遣ってから、しょーちゃんに向き直る。
「帰国して、そのまんま運転してきたの?」
「早くしないと、ダメだって思ったんだよ」
話したいことがあるって、言っただろ?って、口を尖らせたしょーちゃんに、小さくため息をついてエントランスのロックを解除した。
無言のまま、部屋へ向かう。
「どうぞ」
「お邪魔しまーす」
やっとしょーちゃんのアトが消えた部屋に、またしょーちゃんを招き入れるなんて、なんの罰ゲームだよ。
「お茶でいい?」
「話したらすぐ帰るから」
声のトーンを下げたしょーちゃんに、促されるまま、対面に座った。
「雅紀」
「……なに」
「この間は、本当にごめん」
ぎゅって、手を握りしめた。
そんなの、聞きたくない。
「ごめんって、なに?」
え?って、顔を上げたしょーちゃんを真っ直ぐ見て、口の右側だけ上げて、笑う。
「俺が誘ったんだし、お互い気持ちよかったんだからそれで良くない?」
しょーちゃんが、俺を睨んだ。
なんだっていうんだよ。
それが、全てだろ?
謝るってことは、そういうことなんだろ?
「俺の話、ちゃんと聞いて」
「聞いてるじゃん」
お願いだからもう、終わりにしようよ。
握りしめた手が、震える。
「……あのさ……」
しょーちゃんが、口を開いた。
「あの日、お前を抱いたのは、酔ってたからじゃない」
そもそも、酔うほど飲んでねぇし、それは、お前もだろ?って言われて、何も言えずに俯いた。
「魔がさしたわけでも、雰囲気に流されたわけでも、ない…」
だったら、なに?
「俺の意志で、抱いた。
……だから、ごめん……」
しょーちゃんの『ごめん』が、砕け散ったガラスみたいに俺のココロのあちこちに、深く突き刺さった。