「いって…」
「そんな顔すんじゃないよ」
ギシッて椅子を軋ませて、カズさんが元の場所に戻って座る。
「俺はね、これでいいの」
「でも……会えなくなるんですよね?」
指を口に当てて、うーんって言う。
「会えないけど、そんなのは大した問題じゃない。俺が好きでいられればそれでいいの。あの人じゃなきゃダメだって分かってるから」
「……でも……」
「まーくんのお陰なんだよ」
「え?」
「認めたら、痛くなくなった。認めたら、楽になった」
ふふって、笑う。
「会えないけど、その分絶対にピッカピカにしてやろうと思って、さ…ちゃんと気持ちも伝えてきたし」
「会えなくなるって、その人も知ってるんですよね?」
「知ってる」
当たり前じゃんって顔をしてカズさんが言う。
「カズさん、強いなぁ…」
俺だったらきっと、会えなかったら寂しくて不安になって…
「同じだろ?」
カズさんが笑う。
「翔やんが、留学するって言ったらどうすんの?」
「どうって…」
そんなの、応援するに決まってる。
離れてたって、しょーちゃんはしょーちゃんだもん。
「な?同じだろ?」
離れててダメになるんなら、そこまでの話なんだよ、って笑うカズさんは、やっぱり強くて、キラキラとっても綺麗だった。