「どこに、痩せる肉がついてたんだろうな」
悪阻がおさまってきて、久々に履いたデニムがガバガバだー!って言ったら、しょーちゃんが眉をひそめた。
「くふふ。これからどんどん大きくなるから大丈夫だよ」
「今日は?体調は大丈夫なの?」
「うん。雑誌の撮影だから大丈夫だよ。久しぶりのお仕事だから、頑張らないと!」
「辛くなったらすぐ言えよ?」
「うん。しょーちゃんがいてくれるから、大丈夫」
しばらくお休みをもらっていた仕事も、安定期に入ったから、って今日から再開。
今日は仲良しのカメラマンさんからのたっての希望ということで、雑誌の撮影。
カメラマンさんもスタッフさんたちも何度も一緒に仕事をしたことがあるし、たまたまお休みだったしょーちゃんが付き添ってくれるっていうし、おれ的には不安なことなんて何もないんだけど……
「しょーちゃん、ほら、早く行こ?」
思いっきり『心配してます』って顔に書いてあるしょーちゃんの腕を引っ張った。
仕事の前に赤ちゃんグッズを売っている店に立ち寄って、そらとひまわりへのプレゼントを探す約束だったよね?
落ち着いたらまたいつでも遊びにおいでってニノが言ってくれたから、今後の勉強も兼ねて、大宮家に遊びに行くんだもん。
そらとひまわりは、歩けるようになったって言ってたっけ……
「おれ、これがいいと思うんだけど……」
前から目をつけてた馬のおもちゃ。
これ、こどもが乗ってるとすごく可愛いんだよね。
ウチにもそのうち買いたいなって思ってるやつ。
「あ!これ友達の家にもあったな」
しょーちゃんが、やっぱり青と黄色だなって、上の方から箱を選んで取り出した。
「喜んでくれるかなぁ」
「喜んでくれるといいな」
ラッピングしてもらった箱をトランクに入れて、スタジオへ向かう。
「大丈夫?」
信号待ちの間におれを見てしょーちゃんが言う。
「うん。ちょっとドキドキしてるだけ」
「そっか…」
しょーちゃんがにっこり笑って、その笑顔が凄くかっこよくて……
「ねぇ、しょーちゃん」
「ん?」
「……後でキス、してね?」
しょーちゃんがハンドルにごん!って頭をぶつけて、信号待ちで良かったわ……って呟いた。