病院についたらおれの顔を見た先生が『先に点滴!』って言って、処置室に案内された。
点滴の針がなかなか入らなくて、看護師さんが次から次へと代わって、点滴の針もどんどん細いのにかわっていって…最後に師長さんが『赤ちゃん用の針でやっと入ったわ!』って、笑って出ていった。
「脱水になると血管も細くなるんだね」
ものすごく心配そうな顔をしておれを見てるしょーちゃんに、前は採血の時も点滴の時も、血管わかりやすくていいわーって言われてたのになーってボヤいたら、やっとしょーちゃんの表情がやわらいだ。
「点滴、時間かかるって。しょーちゃん、コーヒーでも飲んできたら?おれ、ちょっと寝る」
「おぅ、じゃあ、ちょっとコーヒー買ってくる。雅紀は?なんか飲めそう?食べられそう?」
「おれ、点滴してるから大丈夫」
「すぐ帰ってくるからな」
しょーちゃんに手を振って目を閉じた。
……あ、これは夢かな。
しょーちゃんが赤ちゃんを抱っこして笑ってる。
しょーちゃんにそっくりな、くりんくりんの目をした女の子。
女の子なら、まりんちゃんだね。
しょーちゃんがおれを呼んでる。
おれの手の中には、黒目がちな目の赤ちゃん。
男の子、かな。
じゃあ、翔雅くん。
どっちに会えるかな。
もしかして、ふたりとも?
おれね、頑張るよ。
ふたりに会うためなら頑張れる。
すごい優しくてかっこいいパパがいるからね?
「……さき、まさき」
ふわふわ、髪の毛を撫でられて目が覚める。
「点滴終わって、診察だって。起きれる?急に動くと吐き気催すからゆっくり動いて」
点滴には吐き気止めも入ってるって言ってたけど、やっぱり、気持ち悪い…
診察室に行く前にもまたトイレに寄って、しょーちゃんに支えられながら歩いた。
「あれ…見えますか?ここ…」
先生が手を止めて、エコーの画面を指さした。
「…あ…」
しょーちゃんがぽかんって口を開ける。
「…うそ…」
先生が指さしたそこには、ふたつのまぁるい影が仲良く寄り添っていた。