「ねぇ、しょーちゃん。どこ行くの?」
「もうちょい、歩く」
手を繋いだまま、どんどん街から離れていく。
連れていきたいところがあるって、どこなんだろ?
「…あ!海?!」
風にのって、潮の匂いがかすかに届く。
「ここの倉庫地区抜けたら、公園があんだよ」
車で来ると近いんだけど、歩きだと遠いなって、呟いてる。
「しょーちゃん…」
「ん?」
しょーちゃんの手を引っ張って、足を止めた。
しょーちゃんが少し不思議そうな顔をして振り返る。
「誰も、いないね?」
「あー、公園まで行けば結構家族連れとかいるんだよ。バーベキューもできるし…でも行く人はだいたい車だからなー、歩きでいくヤツなんていないかもなー」
1歩、近づいてみる。
「誰も、いないよ?」
「…え???は?????」
しょーちゃんの顔が赤くなった。
繋いだ手もすごい汗で濡れて、ちょっとゴメンって手を放して、ふたりともGパンでごしごし手を拭いた。
ごしごししてるからって体でしょーちゃんから視線を外して下を向く。
だって、すごい恥ずかしいじゃん。
こんな所でキス、強請るとか。
だめ、だったかなって思ったら恥ずかしくて、しょーちゃんの顔なんて見てられないもん。
「ち…ちょっと、こっち、来い」
しょーちゃんが俺の手を引っ張って、歩道の端っこのにあった自販機の影に連れていかれた。
えぇと、いわゆる『壁ドン』ってやつ。
自分で言ったのに、心臓が爆発しそうになってて、ちょっと後悔…
だって、だって、だって…
しょーちゃんの顔が、ちょっと怖いっていうか、かっこよすぎてどうにかなっちゃいそう。
「お前が、言ったんだからな?」
しょーちゃんの顔がどんどん近づいてきて、慌てて目を閉じた。
ふわって、優しく唇が触れて、離れた。