雅紀のマンションの定位置に車を停める。
「送ってくれてありがと。おやすみ」
俺の方を見ないまま、車を降りようとする雅紀の腕を掴んだ。
「まさ…」
「しょーちゃん、もう、明日には発つんでしょ?早く帰って、準備しなよ」
腕を掴んだ俺の手に重なる手。
愛しい、手。
指を絡めてその手を取った。
やっと振り返ったその顔は、今にも泣き出しそうで…
そのまま、手を引き寄せて手の甲にキスをする。
「準備なんて、一週間前に終わってるわ」
「…え…」
「しばらく会えないんだから、チャージさせろ」
「しょぉ…ちゃ?」
「このまんま行ったら、雅紀不足で干からびるわ」
エンジンを止めて、雅紀より先に車から降りる。
「しょーちゃん!」
雅紀が車から降りたのを確認してロックをかけて、エントランスに向かう。
「待ってよ、しょーちゃん」
雅紀がついてくるのを背中で確認しながら、合鍵でエントランスを開けてエレベーターに乗り込んで、追いついた雅紀の手を握って、引き寄せる。
「今日は寝かさねぇから、覚悟しとけ」
「で、でも明日、移動大変じゃん」
「移動中、死ぬほど寝るから大丈夫」
俺を見上げる瞳がゆらゆら揺れる。
「行くぞ」
ドアが開くと同時に腕を引いて歩き出した。