「では、ご検討よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
ガッチリと握手を交わして、エレベーターに乗り込んだ。
ドアがしまった瞬間、小さくガッツポーズ。
久々のデカイ案件。
無意識にネクタイに触れる。
『仕事、きっとうまくいくよ』
…ネクタイにキス、とか…
それが、わざとらしくもなくて、いやらしくもなくて…
不思議なヤツ、だな。
まだ未成年、だし。
7つも下、なのに。
たまに見せる大人びた表情は、なんなんだろう。
「…おっ…」
通りかかったブティックのディスプレイに足を止める。
「かっこいいな、これ」
相葉くんに似合いそうだなって、思った自分に焦る。
…でも、ネクタイのお礼だし。
本当に仕事もうまくいったし…
少し躊躇しながら、店のドアを開ける。
数年前までは、こんなの着けてたなって、思い出しながら、ゴツめのシルバーのアクセサリーを冷やかして…目に入ったのは、レザーに銀の刺繍がしてあるシンプルなブレスレット。
なんでも北欧の少数民族の工芸品らしい。
さっきのディスプレイのやつよりも、こっちの方がいいか…
店員がさっきついたばっかりで、ここのブランドのネックレスは珍しいんですよ!とか言いながら、奥から持ってきたヤツもまとめてプレゼント用に包んでもらって、店を出た。
明日、渡したらどんな顔をするだろう…
あ、明日の店も決めないと。
まだ酒が飲めないから、飯がうまいところにしよう。
会社の入り口で、ガラスに映った自分の顔にびっくりして、口を押さえた。
俺、こんな顔で歩いて帰ってきたのか…
なんで、ニヤけてんだよ…
「お!サク!その顔は手応えありだな!」
自販機から缶コーヒーを取り出していた松本が俺を見て笑った。
「バッチリ」
そうだった。
デカイ商談、まとめてきたんだ。
ニヤけてたって、いいじゃねぇか。
松本が、じゃ、コレやるよって投げた缶コーヒーを片手でキャッチした。
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では、安全運転で実家に向かいまーす(*´▽`)ノノ