あれから、何にもない。
カノジョが動いた気配もない。
拍子抜けするくらい、普通の毎日が続いてて、俺は何をあんなに必死になってたんだろうって、思うくらいで…
「相葉くん、このあと暇?」
「え?」
「久々、焼肉でもどう?」
「しょーちゃん、ヒマならカノジョ誘ってあげなよ」
「あー、大丈夫。この間の朝飯のお礼、する約束だったし…」
…そんな約束、してないと思うけど…
「そんな事言ったら、俺の方こそお礼しなきゃいけないじゃん!てか、お礼とかナシで、しょーちゃんとご飯、行きたい」
そう言えば、眉毛がふにゃって、下がる。
「この間、いい店見つけたからさ」
予約するねってしょーちゃんが言うのと、
「まぁ、今日メシ行かねぇ?」
って、ドアを開けて入ってきた潤が言うのが同時だった。
「あ、ごめん。今日はしょーちゃんとデートだから、今度ね?」
しょーちゃんの肩がピクって動く。
潤が、しょーちゃんを見てニヤって笑った。
「あそ?じゃ、近々、俺ん家でどぉ?美味いワインもらったんだ」
「ほんと?」
「予約してくるわ」
しょーちゃんが低い声で呟いて、立ち上がって出て行った。
しょーちゃんの背中を見送ってから、潤が俺を見て笑う。
「うまく行ってんの?」
「…さぁ…」
「面倒だな、お前ら」
ぐいっと手を引かれて、抱きしめられる。
「俺にしとけばいいじゃん」
「どこまで本気なのか、わかんない」
「結構、本気だけど」
「じゃあ、ムリ」
潤の胸を押し返して、笑う。
俺の本気は、しょーちゃんだけ、だから。
「んー、じゃあ、遊びならアリ?」
「ふふ、どうだろうね?」
楽しそうに唇を触って笑う潤に、俺も笑い返した。