「しょ…ちゃ…」
掠れた声が聞こえて、身体を離した。
真っ赤になった雅紀に、我に返る。
「…ごめん…」
俺、何やってんだろ。
がっつき過ぎだろ。
「また、暴走した。耳、隠しておけよ?」
耳にかけた髪の毛を元に戻しながら言えば、不思議そうに俺を見上げる。
「え?耳?」
「うん…出てるとやばい」
「出てると、やばい?」
わかんねーのか。
わかんねーんだろうな。
「いいから、とにかくしまっとけ」
「…うん…」
うんって、言ってるけど、意味、わかってんのか?
とりあえず、念押ししておくか。
「髪の毛、耳にかけんなよ?」
「あ…うん。わかった」
やっぱり、分かってなかったか。
ほっとしたような笑顔に、悪戯心がむくむく、湧いてくる。
ネクタイを外して、首にかけてやりながら、
「耳、出すのは俺の前でだけ、な?」
耳元で囁いてやったら、あっという間に首まで真っ赤になる。
…あぁ、もう…
ミイラ取りがミイラになるって、こういうことを言うんだな…
ハマってくのは俺の方。
ネクタイを手早く結んで、細い身体をぎゅって、腕の中に閉じ込めた。