「お、ちゃんと早めに出てきたな」
リビングに戻ったら、しょーちゃんが、ノートパソコンをテーブルの上に置いて笑った。
「頭、乾かしてやるからそこ、座って」
「…え、いいって」
「だめ。はい、座る!」
ドライヤーのスイッチが入って、しょーちゃんの手が俺の頭に優しく触れる。
「お前の髪の毛、ほんっとに真っ直ぐでサラッサラだなー」
気持ちいいなーって、しょーちゃんは笑ってるけど…それどころじゃないよ。
胸が苦しくて、どうにかなっちゃいそう。
「おし、乾いた!おかゆなら食えそう?って、レトルトだけど」
しょーちゃんが俺の髪の毛をくしゃってして、立ち上がる。
食欲、あんまりない、けど…
もう、お皿に移し替えてラップしてあるじゃん。
俺が答えるよりも先に、しょーちゃんはそれをレンジに入れてて…
「ぅあち!」
「ちょっと、しょーちゃん!大丈夫?」
「大丈夫!それよかほら、食え。んで、薬、飲め。」
しょーちゃんがチンしてくれたお粥、頑張って食べてみたけど、やっぱ、無理。
しょーちゃんを見上げたら、心配そうに眉をひそめた。
「ゼリーとかプリンもあるぞ?あと、りんごとかバナナとか…」
「くふふ、りんご、剥いてくれるの?」
「おぉ?!あ!無理!無理だわ!」
あははって、笑って、しょーちゃんが冷蔵庫からしょーちゃんの宣伝してるゼリーを持ってきた。
「これなら、食べられそう?」
「…ん…ありがと」
「俺も風呂、もらってくるから、それ食ったら薬飲んで、ベッド行って寝ろよ?」
「はぁい」
確かさっき…そう、返事して…
ゼリー食べて、薬飲んで…
ふわふわ、してる。
ゆらゆらして、その後にぽふって、背中に柔らかいものがあたって…
髪の毛をそっと撫でられる。
しょーちゃん、なの?
お風呂、出た?
おやすみ、ありがとって、言わなきゃ、なのに。
しょーちゃん、ごめんねって、言わなきゃ、なのに。
目があかない。
声も出ない。
おでこにふわって、何かが触れた。
…なに?
「何してんだろ、俺…」
しょーちゃんの、声?
しょーちゃん?
なに、したの?
今のって…キス?
しょーちゃん、俺にキス、したの?
これって、夢…かな…
ねぇ、しょーちゃん…