さっきから、翔さんがすこぶる機嫌が悪い。
黒いオーラが見えそうな感じ。
原因は多分、アレ、だけど。
いやでも、あれはさ、仕方ないんじゃないって思うところもあるけど…
「だから、相葉くんがあそこでさ」
「えぇー、俺なの?」
よりにもよって、シャワールームから2人でご登場ですか…
翔さんの周りの黒いオーラが倍増したよね、今。
「仲良しだね、ふたり」
いつもより少し低い翔さんの声に、相葉さんの肩がぴくり、って揺れた。
「あ、えっと、振りの確認…」
「ふぅん?フリの確認、ね…」
「ね、しょーちゃん、なに?どしたの?怖いよ?」
「ヤキモチ、妬いてんじゃね?」
相葉さんの後ろに立っている潤くんが髪の毛をガシガシ拭きながら、ニヤリって笑う。
もう!ヒリ潤発動しなくていいっての!
「ヤキモチ?なんで?」
そう言った相葉さんの前に、翔さんが雑誌を出した。
今日発売の、やつ。
さっき、マネージャーに頼んで買ってきてもらった、やつ。
「あ!これ?」
「すんげー、楽しそうだな?」
「…う、うん。あの、楽しかった、よ?」
あああ!もう!天然ってコレだから!そこで楽しいとか言っちゃうのかよ!
「お前、この間俺が潤の太もも触って浮気だとか騒いでたよな?」
「う…」
「これはなんだよ?もっと酷くねぇ?」
「浮気じゃないもん!お仕事じゃん!しかも『自撮り』指定したの、しょうちぇるじゃん!」
「は?誰がこんなデートしろって言ったんだよ」
「だ、だって、それはじぇいちぇるが、そうしたほうがいいんじゃね?って、言うから!編集部の人たちもそれいいですね!って大盛り上がりでさ…」
「あー、言った言った!俺もまぁちぇるとデートしてみたかったから、めっちゃいい企画だったよ!周りに人がいなかったら、もっと良かったんだけどなー」
「オマエ、雅紀が俺の恋人だって知った上で言ってんだよな?」
翔さんが潤くんを睨む。
あー、もうダメだ。
翔さんから帝王オーラ出てきちゃった。
「たまにはいいじゃん。いつも翔さんばっか、まぁちぇる独り占めでずりぃじゃん」
潤くんも完全に楽しんでるな。
「あのな、潤。雅紀は俺の恋人だからな!相手がお前だろうと誰だろうと、譲る気持ちなんてこれっぽっちもねぇからな!」
「しょうちぇるぅー♡」
いやいや、相葉さん。アナタの恋人、今、帝王オーラ出てるよ?
きゅるるん♡とかなってる場合じゃないと思うよ?
「オマエは、お仕置き決定な?」
きゅるるんって、翔さんを見つめてた相葉さんに、翔さんが黒い笑顔を見せる。
「覚悟しとけよ?」
って、にやって、笑う…
相葉さんの目が泳いで、俺を見つめる。
「にのぉ…しょうちぇる説得し…」
「無理」
「なんだよぉ!親友だろぉ?助けてくれてもいいじゃん!」
「あのね、ワタシにも出来ることとできないことがあるんです。帝王を止めるのはワタシにはできません。甘んじてお仕置き受けなさい」
「えー!なにそれ!ニノちゃん、冷たい!デビルニノ!おに!」
「デビルで鬼なのはアンタのコイビトでしょ?」
そう言えば、しゅーんって、肩を落とす。
「あー、今日の夜が楽しみだなぁ。なぁ?雅紀?」
「にのちゃあぁーーーん」
笑顔の翔さんとは対照的に、情けない顔で俺を見てる相葉さんに、黙って首を横に振った。
帝王を止めるとか、できないから、マジで。
「ま、お前が来ないんならそれでもいいけど?じゃー、俺はどうすっかなぁー…ふーまか、まっすーでも誘って飲みに行くかなー。あーー、上田とか亀とかでもいいなぁー」
翔さんがそう言って立ち上がる。
「えぇ!ちょ!ま、まって!待ってよ!しょーちぇる!」
慌てて、Tシャツに頭を通した相葉さんが、わたわたと荷物をまとめる。
「じゃ、お先でぇーす」
翔さんがわざと、相葉さんの前でドアをしめる。
「まって!待ってしょーちぇる!俺も帰る!帰るから、まって!」
バタバタと相葉さんが出て行って、潤くんが爆笑してる。
「…にの…」
「なんですか?おーのさん」
「翔くん、ドアしめる時、めっちゃドヤ顔だったぞ?相葉ちゃん、大丈夫か?」
「ま、あのバカップルですから、大丈夫でしょ。なんだかんだ、帝王も相葉さんには甘甘ですからね」
「あー、そっか、そうだな。なんだかんだ、ラブラブだもんな、あのふたり」
「えぇ、とんだバカップルですよ」
俺の言葉に、そうだなって、おーのさんがあはははって、笑った。