「海だぜー!」
「ワタシは海とか別にいいんですけどね!」
「そんな事言うなよ、ここまで来て!ほら!ギャルがいっぱいいんぞ!」
20代も半ばになって、男同士で海とか。しかも水着ギャルに目を輝かせるとか、ねぇだろ。
後部座席でギャーギャー言ってる2人に苦笑しつつ、最後のひとつだったらしき駐車場の空きスペースに車をすべりこませた。
「潤くん、こんなとこ来たって、高校生じゃないんだから新しい恋なんて見つかるわけないじゃん」
「誰がそんなの探してるって言ったんだよ!
ダチがここで、SUMOチューブってちょーおもしれえのがあるっていうから来たんだろ」
「お前らいつまで喋ってんだよ。着いたからさっさと降りろ」
エンジンを止めて振り返れば、はーいって、返事をして二人が降りる。
二宮と松本は会社の同期で、最近彼女と別れた松本のたっての希望で、今日は海に遊びに来た。
「海に来るのなんて、学生時代以来だなー」
潮風を吸い込んでそう呟いて、
「かず、お前、海まで来てゲームかよ」
「だから、ワタシ、乗り物酔うから、そのSUMOチューブってやつも出来ませんって」
相変わらず何やら言い合っている2人に苦笑する。
若い女子たちの間をすり抜けて、目的の海の家まで向かう。
「え!今の超イケメン!」
「見た見た!」
松本と歩いてると、いつもそう。
女の子たちが振り返る。
本人は全く気にしてないけど…サラリーマンじゃなくてモデルとかやったらいいのにって風貌なんだよな。
「すいません、予約した松本ですけど」
「あ、いらっしゃーーーい!」
いかにも『海の家にバイトに来ました!』って、感じの金髪に近い茶髪の男子が、無駄に元気な声を出して、店の奥からバタバタと走ってきた。