「だから!なんで写真を撮らなかったのかって聞いてるんでしょう?!」
小さい声で話してるつもり、なんだろうけど...人気のない駐車場の隅っこ…結構音響いいんだよね。
まる聞こえ、だよ?
白いワンピースから伸びる真っ直ぐな細い、足。
不自然なほど細いヒールがカツンって、地面を叩く。
「アタシより面白いネタって?そんなの、知らないわよ。アンタ、でっかいチャンス逃したのよ?バカじゃないの?」
電話の相手はこの間のカメラマン、だろうな。
「もういいわ。アンタみたいなクズに用はないから!」
捨てゼリフを吐いて、電話を切って、すぐにまた電話をかけだした。
それが、アンタのホントの姿、なんだね。
「あ、先日ご挨拶させていただいた...」
…今度は、誰に?
「国民的アイドルグループのスクープ、欲しくありません?」
カノジョの言葉に、どくりと音を立てて血が逆流する。
許さない。
…絶対に許さない。
「誰?誰でしょうね?」
くすくす、と笑う声。
耳障りな、ノイズでしかない。
カノジョの手からスマホを取り上げた。
「ちょ...!」
振り向いたカノジョが、俺を見て固まる。
「落ち目なオンナの嘘に付き合ってたらでっかいスクープ、逃しますよ?」
カノジョの顔を見つめながら、そう言って通話を切った。
「はい」
にっこり、笑ってカノジョの手にスマホを戻す。
「...なんの、つもりよ」
「そっちこそ、どういうつもり?」
「欲しいものは全部、手に入れたいの」
俺を見上げてにっこり、笑う。
キモチワルイ。
「アンタが欲しいものって、なに?」
キモチワルイ。
「貴方じゃないことは確かね」
計算された、笑顔。
「ねぇ…今すぐ、消えてくれない?」