「うわ、むっず!」
テキパキと作業を進めていく雅紀の横で、最初のひとつを必死に包んでる、俺と翼。
餃子包むのって、こんな難しいのか...
そういえばさっき、雅紀が『包む』じゃなくて『握る』って言ってて、『包む』なのか『握る』なのかで、しばらく議論になったけど。
「まさきくん、できた!」
「わぁ、翼くん、上手に出来たね!」
翼が、チラリと俺の手元を見る。
「まさきくん、しょーちゃんも出来たって」
どうだ!って、ふたりが包んだ餃子の隣に自分が包んだ餃子を置く。
「しょーちゃん、ひだひだ、ないの?」
「ない!Simple is Best!」
「しょーちゃん、はしっこ、ずれてるよ?」
「ちゃんと閉じてるから、問題ない!」
俺と翼のやりとりを聞いて、雅紀が吹き出した。
「なんだよ」
「先輩、意外と不器用なんですね。翼くんの方が上手」
「うるせぇ!食えばどれもおんなじ味だろ?」
ぶー!って、膨れてみせたら、うひゃひゃって、声を出して笑った。
それが嬉しくて、俺も笑う。
爆笑してる俺らを見て、翼も笑う。
「ただいまー。なにしてんの?...って、誰?」
部活帰りの耀が台所を覗きに来て固まった。
「誰?じゃねぇだろ」
「あ、お邪魔してます。相葉雅紀って言います。翔さんの後輩で、とってもお世話になってます」
雅紀が餃子を持ったまま、ぺこり、とお辞儀をした。
「...いた。マジで、いた...朝のお兄ちゃんの...」
耀が雅紀を見て、呆然とつぶやいた。
「あかりちゃん、まさきくんにご挨拶は?」
「あ!妹の耀です!兄がいつもお世話になってますっっ!」
翼に言われて、慌てて自己紹介をした耀が、すごい勢いでお辞儀をして、私も手伝いますっ!って、ドタバタと階段を上がっていった。
「耀ちゃんも、先輩に似てますね」
「そうか?」
「美男美女きょうだいですね?」
くふふ、って笑う雅紀に
「まさきくんも、かわいいよね?ぼく、さやか先生より、まさきくんの方がいいや」
って、翼が言い放った。
「え?翼、さやか先生と結婚するんじゃなかったのかよ?」
「うん。でも...まさきくんがいいー。あ、でも、まさきくんは...」
そこまで言って、あ!って、小さく言って翼が黙り込んだ。
「どした?」
聞いてもぷるぷる首を横に振るだけで...
「雅紀が、どうしたんだよ?」
翼が雅紀をちらっと見てから、また首をぷるぷる、横に振って...そんな翼を見て、雅紀もぷるぷる、首を横に振る。
「なんだよ、お前ら...へんな人形みたいだぞ?」
首をぷるぷるしてる2人が可愛くて、面白くて...俺はまたあははって、声を出して笑った。