「しょーちゃん、この店、知ってる?」
スマホに登録した店のホームページをしょーちゃんに見せた。
「あー、ここ。ペスカトーレがマジうまいよ」
「ペスカトーレね!じゃ、それにしよ」
「食べに行くの?」
「うん。今をときめくイケメン俳優の橘くんに誘われたの。さすがお洒落なお店知ってるよねー!
でもきっとさ、しょーちゃんとか松潤は知ってる店なんだろうなーって思ってさ」
しょーちゃんの眉毛が真ん中にぎゅって、寄っていく。
「...気をつけろ、よ?」
「...は?」
聞き返したら、しょーちゃんの視線が宙を泳いだ。
「橘くんって、いろいろ、ウワサあるから...」
「噂?なんの???」
俺から視線を外したまま、しょーちゃんがポリポリ、鼻の横を掻いた。
「なんか、悪い噂でもあんの?だって、橘くんって、すげーいい人じゃない?」
「...ん。いい人だよ。いい人だけど、さ...」
「あ!もしかして、しょーちゃんのカノジョの元カレとか?!共演してたもんね?」
そう言えば、しょーちゃんの顔がちょっとこわばる。
「...ごめん。冗談...しょーちゃん、怒っちゃった?」
下から覗き込むように見上げたら、しょーちゃんの眉毛がふにゃーって、下がる。
「...怒らねーよ、そんな事で」
ふふって、笑って、俺の頭をくしゃって、撫でる。
しょーちゃんも、結構単純なんだよね。
「あの、さ...あくまでも噂に過ぎないけど...橘くん、両方イケるって、話だから、さ...」
しょーちゃんが、言いにくそうにもごもご、言う。
そういう噂話とかって、信じないんじゃなかった?
そんなに、俺のこと、心配なの?
「えー!俺、もしかして狙われちゃってんのかなぁ?」
「だから...気をつけろよ?」
だから、もう...さ?
俺のこと好きなんだって認めちゃいなよ。
「くふふ、しょーちゃん、心配しすぎ!」
俺は、彼には堕ちないから。
彼には協力してもらう、だけ。
だから、安心して?
「変な事言って、ごめん」
「うううん。心配してくれたんでしょ?ありがとね、しょーちゃん。大好き!」
ぎゅうって抱きついたら、はいはいって、いつもみたいに背中をポンポンって叩いて、しょーちゃんが笑った。