「これ、解約してきて?」
差し出した携帯に、マネージャーの鈴ちゃんがため息をついた。
「相葉さん...また、ですか?」
「うん。また。ごめんね?」
「そこまで、する必要ありますか?」
鈴ちゃんは、携帯についた傷を見つめながら俺に言った。
「うん、あるの」
鈴ちゃんは、俺が何をしてるのか、多分知ってる。
今までも何も言わずに俺を見てきた、から。
今度も多分、何も言わない。
「...わかりました。やっておきます。新しいのは?必要ですか?」
「うううん。もういいや。ありがと」
収録の間にしておきますねって、携帯を受け取って出ていく鈴ちゃんと入れ替わりで、松潤が入ってきた。
「おはよ」
「はよ。何?また携帯?」
鈴ちゃんの背中を見送ってから、俺の顔を見て松潤が言う。
「うるさいオンナもオトコも嫌いなの」
にっこり、笑ってそう言えば、顔の右側だけで、笑い返して、俺の腰に手を伸ばすから、その手にそのまま身を委ねた。
「俺にしておけばいいじゃん」
耳元で囁く声がくすぐったくて身をよじった時、ドアが開いた。
「おは...よ...」
しょーちゃんが目を見開いて固まった。
松潤が小さく舌打ちする。
「くふふ、考えとくね。しょーちゃん、おはよ!」
するり、と腕から抜け出して、笑う。
「お...おじゃま、だった...?」
「邪魔に決まってんじゃん、翔さん。もうちょいで、キスできそうだったのに」
松潤がドカって椅子に腰掛けながら、言う。
き、キス...
って、気の抜けた顔でしょーちゃんが繰り返す。
「俺はキスしたいなんて思ってないけど?」
ほっとした顔のしょーちゃんを視界の隅に置いたまま、松潤を見て笑う。
「俺と、キスしたかったの?」
俺の言葉に、しょーちゃんの顔がこわばった。
「やっぱ、お邪魔みたいだから、コーヒー買ってくるわ」
バタバタと楽屋を出ていくしょーちゃんの後ろ姿を見送って、松潤が鼻を鳴らした。
「マジで俺にしとけよ」
「どう、しよっかなぁ...」
くふふって、笑ったら、小悪魔だなって、松潤がかっこよく笑った。