固まってるしょーちゃんを置いて、楽屋を出た。
しょーちゃんは頭でっかちなんだよ。
そんで、真面目すぎんの。
頭いいのに、バカなんだ。
好きなら好きって言えばいいんだ。
キスしたいなら、すればいい。
他のことは、そこから考えたらいいんだ。
『常識』だって、大事だけど。
それって、誰が決めること?
周りと同じじゃなきゃいけないの?
そんなんじゃ、ココでは生き残れないって知ってんのに。
だからこそ、『普通』でいなきゃって、思ってんの?
自販機に小銭を入れようとして、ポケットに手を突っ込んでいたら、後ろから声をかけられた。
「こんにちは」
どっかで見たことのある、女優さん、だけど...どこで会ったっけ?
整った小さい顔に、長い手足。お人形さんみたいな、人。
どうやったら一番可愛く見えるかって、完全に計算された角度で首をかしげて俺を見上げてる。
...キモチワルイ
「どうも」
「あの...翔くん、一緒ですか?」
「あぁ...呼んできましょうか?」
にっこり、笑ってやる。
...思い出した。
しょーちゃんの、カノジョ、だ。
でも、残念だね?
キミは飾り。
しょーちゃんが好きなのは、俺。
『常識』に縛られてるしょーちゃんが、俺から逃げるために用意した、飾り。
楽屋のドアを軽くノックして、開ける。
「しょーちゃん、お客さんだよ」
俺の後ろにいるその人を見て、しょーちゃんが小さくため息をついた。