しばらく黙っていた二宮が立ち上がった。
「それだけ、伝えたかったんだ...」
コトン、と音がして、手をつけないままのサイダーのペットボトルがローテーブルの上に置かれた。
「...じゃ...」
俺の視界から、二宮の裸足の足が消えていく。
ぺたり、ぺたり。
足音が遠くなる。
俺は...
おれ、は...
「おぉの、さん...」
至近距離で聞こえた、二宮の困ったような声に、はっとする。
俺の腕の中で、赤くなってる、二宮。
俺、何してんだ?
早く離さなきゃって、思うココロとは裏腹に、俺の腕は、俺を押しのけようとした二宮をさらにぎゅっと抱きしめた。
「...ごめん」
なにが、ごめん?
何に、ごめん?
自分で何言ってんのか全くわかんねぇや。
けど、ごめん。
ずるいのは、俺。
逃げてばっかりなのは、俺。
オトナの事情、なんて、どうでもいい理由で、お前から、自分から逃げてきた。
お前がどんな気持ちでここに来たのか、そんな事すら考えてやれなかった。
「...ごめん...」
もぞり、腕の中で動いて、遠慮がちに俺の背中に腕がまわった。
「ごめん」
「何回、言うの、それ」
「うん。ごめん」
もう1回、ぎゅって、抱きしめた。