「潤と雅紀は、部活とかどうすんの?」
櫻井先輩が優しい笑顔で俺を見てる。
その笑顔と俺の名前を呼ぶ声に、なんかもう、本当に心臓がおかしくなりそうなんだけど。
「やっぱり、サッカー部入ろうかなぁって思ってますけど...まぁは?中学の時何部だった?」
「あ、俺たぶん、部活はやらない、です。中学の時はバスケ部でしたけど...」
「え、やらないの?うちのバスケ部結構強いよ?」
「え!カズさんバスケ部なんですか?!」
そう言ったら、今度は俺の横で潤くんがお茶を吹き出しそうになって、ゲホゲホしだした。
「なんだよ、まっつん、失礼だな!」
「いやだって、カズさんがバスケとかって...」
「俺だって、バスケくらい、できるわ!」
不満げなカズさんに、みんなで笑う。
「おー、楽しそうだなー」
「あ、智くん」
ここ、座ってもいい?って、俺の隣に大野先生が座る。
...あれ...
気のせい、かな...
カズさんの顔から一瞬、笑顔が消えた気がしたけど。
「二宮、またハンバーグ食ってんのか?」
「そう言うおーのセンセもまた蕎麦ですか」
「んふふ、蕎麦うまいぞ?お、相葉は弁当か~って、二宮、また人に食わせてんのか?ちゃんと食わないと倒れるぞ?」
「...たくさんは食えねぇんだよ」
カズさんと、大野先生...なんだろ、なんなんだろ。
なんかちょっと、雰囲気が違う、気がする。
仲良さそうなのに、なんか、ピリピリしてる?
なんか、話題探した方がいい?
部活の話はもう終わっちゃった?
「...あ、の...先輩はどうして、大野先生のこと名前で呼んでるんですか?」
思わず、気になってたことを口にしちゃった。
どうしよ...恥ずかしすぎる。
先輩が誰を名前で呼んだっていいのに。
潤くんのことだって名前で呼んでるのに。
...でも、気になるじゃん。
先生、なのに、さ。
「俺ね、翔くんの従兄弟なの」
「...いと、こ...」
「学校では先生って呼べって言ってんだけどねー」
「今更『大野先生』とか、呼べるかよ」
なんだ、従兄弟か...
ふふって、思わず笑っちゃって、先輩が俺を見るから、また、心臓がどきんって、飛び跳ねた。
「あ、あの...独特ですよね、イントネーション...」
あぁ!バカ!俺のバカ!
何言っちゃってんの?!
それってすごく、失礼じゃない?!
「わぁ!あの、ごめんなさい!今の、なし!」
目の前で櫻井先輩が、ぶは!って吹き出した。
「お前、ほんっっとにかわいいな!」
「まーくん、面白すぎる」
「まぁ、最高」
「あいばー!」
俺以外の4人が爆笑した。
なんで笑われてんのかわかんない、けど。
先輩、俺のこと『かわいい』って、言ったよね?
オトコにかわいいって、どうなのって思う、けど。
先輩に言われるのは、嬉しいって...そう思うのは、そう思う、のは...
ごくん、ってお茶を飲んで、その先の言葉も一緒にお腹の中にしまいこんだ。