相葉くんの復温が無事に終わって...
復温後の状態も良く、マサキも落ち着いていて...
でも、このまま、で、いいはずが無い。
相葉くんが、マサキを覚えていたら...
マサキが、相葉くんの記憶を取り戻したら...
『なんで、最初っからちゃんと処分しなかったんだよ』
長い脚をデスクの上に放り投げて、所長が言う。
『興味、あったんでしょ?クローンがどこまで人間になれるのか』
『そんな事言ったっけ?』
ニヤリ、と笑う所長を睨みつける。
『どっちにしろ、オリジナルとクローンは同時には生きられないからな、そこんとこ、ちゃんと確認しとけよ?』
相葉くんの病室のモニターを眺めながら、所長とのやり取りを思い出していたら、相葉くんが派手に転んだ。
ホスピスとニノに連絡を入れようとしたけれど、慌てて病室へ駆け込んできた翔くんが見えて、手を止める。
翔くんがいれば、何か問題があれば連絡してくるだろうし、翔くんが病室にいる間はモニタリングの必要も無いか...
新規のクローン依頼のファイルを読み返し、ふと、視界に入ったモニターの映像に固まった。
「...マジかよ、翔くん...」
カメラあるって、言わなかったっけ、おれ???
必死に、記憶をたどる。
...言ってない、かも...
慌てて白衣を脱いで、モニターの上に放り投げた。
とにかく、翔くんが戻ってきたら、相葉くんがマサキを覚えているかを確認して...
今後、どうやっていけばいいのか、を考えなくては。
マサキだって、ずっとこのまま、この中だけで生活していくわけにはいかないだろうし...
「それにしても、なぁ...」
白衣で隠したモニターを見て、ため息をついた。