「ったく、見てんじゃねぇよ」
雅紀から手を離して、パイを箱の中によいしょって、しまう。
今度は、雅紀が俺の背中にくっついて、くふふって、笑う。
「見られちゃったね?」
「おぉ、いい感じだったのにな」
ドキドキを悟られないように、軽く言った、のに...
「...うん...」
「...え?」
予想外の反応に...驚いて、振り向こうとしたら、俺に回した腕に、ぎゅって力が入る。
今、うんって、言ったよな?
いい感じだったって、言ったら、うんって、言ったよな?
「...しょー、ちゃん...」
聞こえる声が、震えてる。
どうしよう。どうしたら、いい?
お前も、同じ気持ちだって、思っていいの?
心臓が大きな音をたて始める。
「俺、ね...しょーちゃんになら...」
雅紀の頭が一瞬、離れてから、また背中にくっつく。
「...いい、よ...」
頭の中で、思考回路がスパーク、した。
真っ白になって...
「...んっ...」
気がついたら、夢中で、雅紀にキスをしてた。
唇を離したら、恥ずかしそうに、俺を見て、微笑む。
その顔は、本当に、綺麗、で...
「なぁ、やっぱり、お前、天使じゃねぇ?」
そう、言った俺に...
「羽根があるか...確認、する...?」
また、微笑んだその顔に...
「...天使、じゃなくて、悪魔、かも」
そっと、手を取って...指先に口付けた。