「分かる、か?」
櫻井さんの、泣きそうな声が、響く。
「俺が…………分かるか?」
視界が、歪む。
俺を見て、おーのさんが微笑んだ、気がしたけど...
一瞬だけ、俺は2人に背を向けて、白衣の袖で目頭を拭った。
櫻井さんの何度目かの呼び掛けに、相葉さんが小さく頷いたのが見えた。
そろそろ、タイムリミット、かな...
反対側から、おーのさんも、ちら、と時計を見て、俺に頷いた。
泣きながら、何度も相葉さんの名前を呼ぶ櫻井さんに、相葉さんがなにか言いかけて、激しく咳き込んだ。
「雅紀!!」
「どいて下さい」
驚いて、声を上げた櫻井さんを、半ば突き飛ばすように相葉さんからひき離した。
「バイタル取るので邪魔するなら出て行ってください」
櫻井さんに背中を向けたまま、そう言って、相葉さんに必要な器具を取り付けていく。
ベッドの反対側から、おーのさんも手早く機器をセットする。
不整脈、低血圧、低血糖、高カリウム血症、高体温...それと、感染症。
復温後のリスクは様々だ。
それは、櫻井さんも分かっているはず。
「邪魔しないなら、見てても構いませんけど?」
「……………分かった」
背中に、櫻井さんの視線を感じながら、様々なデータをチェックする。
「今のところ、問題なさそうですね」
「じゃあ、このまま、ホスピスに移動させよう。翔くん、ほら、行くよ?」
呆然と立ちすくむ櫻井さんに、おーのさんが優しく微笑みながら声をかけた。
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いろいろ、書いてますけど...
医療に関しては全くのシロウトですので、フィクションとしてお楽しみくださいね(^^;;