きっとマサキはここへ戻ってくる。
おーのさんは、半年前、相葉さんに渡したIDを今日だけ使えるようにしてほしいと、所長に掛け合ったと言っていた。
それが使えなければ、マサキは行き場をなくしてしまう...
松本さんは培養室で、俺達は相葉さんのいる部屋で、ただ黙って座っていた。
「あー、インカムもPCも忘れたー。セキュリティからの連絡が入らねぇじゃん」
おーのさんが、のんびりと言う。
「アンタ、何してんだよ!」
本当に緊張感のカケラもねぇな!って、おーのさんを小突いていたら、
「大丈夫。マサキは絶対に来る」
って、櫻井さんがドアを見つめたまま、小さく呟いて、俺もおーのさんも、ドアを見つめた。
どのくらい、そうしていただろうか...
コツコツ...
小さくドアがノックされた。
それは、松本さんからの合図。
「来た!」
櫻井さんが、素早く立ち上がり、そっとドアを開けて、培養室へ移動する。
新しく用意されたケースの上に、見える人影。
「マサキ...」
櫻井さんが小さく呟く。
「あ!」
マサキがリフトの柵に脚をかけたその時、松本さんがその影を抱きしめた。
櫻井さんが走る。
俺達も、走る。
「マサキ!!」
「マサキっ…………」
無事で、良かった...
「…………おかえり」
おーのさんが、優しく微笑んだ。