「単純に、興味があったんだよ」
「興味…………?」
「『偽物』がどこまで『本物』のフリをし続けられるの、か」
そう言って、おれは、笑う。
翔くんが、マサキとでも幸せになれるのかなって、そんな興味もあったんだ。
ぐっと、手に力を込めて、怒りを抑える翔くんをぼんやりと眺めていたら、
「おーのさん」
ニノの声がした。
怒っているような、困ったような、泣きそうな、顔。俺が一番苦手な、ニノの顔...
ため息をついて、ニノに微笑む。
「マサキにも必要なことだったと、おれは思ってるよ」
「だからどうして!?」
翔くんが、机を叩く。
どうしてかって?
知っているはずだよ、翔くん。
遥か昔にした、約束を。
覚えているはずだろう?
その鎖がマサキにも絡み付いているから...
だから、それを、外してやらなきゃ...
ほら、今も。
翔くんが見ているものは、記憶の断片。
「………………思い出した?」
「翔くんと『まさき』は、愛し合う運命にあるんだよ」
分からなくても、いいよ。
「だから、翔くんがふたりの『まさき』を見分けられないのは、ある意味仕方のないことだとおれは思ってる」
理解出来なくても。
「大丈夫。『潜在意識は、自分の人生で起こったすべてを覚えている』から」
...それが、真実だから。
まだ、俺を睨んでいる翔くんに、にっこりと笑いかけた。