上司の櫻井さんは、見るからにデキる人で
どんな仕事もきっちり完璧にこなしていた。
松本さんはそんな櫻井さんを尊敬してて、
俺はどちらかというと、苦手だった。
感情のひだが全くなくて、綺麗な顔してるから、
まるでサイボーグみたいで。
でも、仕事を始めてすぐに、自分の感情なんて
邪魔なだけなんだと分かったから、
櫻井さんを見習って、感情をしまいこんで
事務的に仕事をこなすようにした。
「おー、ニノ、おはよぉ」
「…おはようございます。おーのさん」
もっと苦手なのはコイツ。
リーダーの大野智。
何を考えてるのか全くわからない。
こんなところにいるのに
毎日笑ってやがる。
天使みたいな顔しやがって、中身は絶対悪魔だろ。
「ちゃんとメシ、食ってきたのか?」
「…いえ、朝はいつも食べませんけど…」
「メシは生活の基本だぞ!ちゃんと食え!
だからそんな病人みたいな
青白い顔してんだろ!」
一日中、日光に当たらないんだから、
青白くもなるだろう、
…なんて口には出さないけど。
「はい…以後、気をつけます」
「このメロンパンやるから、食っとけ
ここのパン屋のメロンパンは最高なんだぞ!」
おーのさんは、手に持っていたメロンパンを
俺に向かって投げると、所長室に消えていった。
例のヤツの報告、なんだろうな。
今日はホントに嫌な日だ。
手の中のメロンパンを見つめてため息をついた。