marry me? 2023 #4 | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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「勝手にごめんね」



着替え終わってからまた雅紀が俺の手を握る。いまだに雅紀が謝る理由が俺には分からない。ただ、集まっているのがメンバー全員という事とこの場所である理由は普段の集まりではないことだけは確かで。




「正直怖ぇわ」



だって何かが起こる。それだけは確かだから怖くて当たり前だと心の中で自分に言った。








「しょーちゃん」



「んー?」




さぁ、何を言われる?雅紀は俺に何を言う?この何も知らない状況はヒリヒリする。だけど今雅紀にどんな内容を言われようとも動揺しないと決めた。だって繋いだこの手が本物だから。





「オレたちのこと。メディアに発表してもいい?」




動揺はしないと決めたのに、雅紀の言葉は想像のはるか上。めちゃくちゃに上。考えたって無理なことは無理だと何度も話し合ってきた内容は雅紀の方が消極的だったのに。



例えば現場で暗黙の了解で許されていたとしても世間一般へとなると話は別で。だから今の今まで隠れるように暮らしてきたのに。




「まさかとは思うけど」



「何?」



「今、じゃないよな?」




まさかこんな大事なことを当事者の俺が知らないなんてどうかしてる。そんなわけない。だからこれから始まる何かとは違うよな?




「ごめん。今。これから」



「嘘だろ」




だけど、これが雅紀なのかもしれない。きっと俺を喜ばせたくて、懸命に考えてくれていたんだろう。




「急でごめん。勝手にごめん」




繋がったこの手は、これから先もずっと離さない。それは俺たちにどんな未来が来ても絶対に変わらない。




「しょーちゃんはオレのなんだって。もう誰にも隠したくない」




真剣すぎる雅紀の言葉に、一言相談くらいあっても良かったのにと思うのに。





「わかった。腹、括るわ。俺も」




なんだろう。理解してからすぐに、今から起こるとんでもない事が楽しみに変わる。




やっぱり俺は、雅紀と一緒だとどんな事でも楽しいらしい。










「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。急であるにも関わらず、多くの皆様に足を運んで頂いたことに感謝致します。メンバーの相葉と櫻井から今日はご報告がございます」




全く。こんな時には頼りになる。結局は俺たちのリーダーはこの人なんだと今日も思わされる。傍から見てこの役をやるのは俺が多いと思われがちだけど、それは違う。





「皆様。本日は僕達のためにお集まりいただき本当にありがとうございます」




雅紀が話し始めて、恐ろしいくらいのカメラのフラッシュは慣れているはずなのに凄く眩しい。




「僕達、相葉雅紀と櫻井翔は数年前に結婚致しました事を報告させていただきます。ご報告が遅くなり申し訳ありません」




謝ることなんてないのに。なんて、肝が座った俺は雅紀の隣で冷静かもしれない。一瞬でざわめくを通り越した記者たちの反応が見ていて面白いくらいの余裕があった。








「何故、今発表されようと思ったのかお聞かせいただけますか?」



ある程度にはバレていた。それはお互いが承知。事務所との関係があったから今まで大っぴらにならなかっただけ。だから沢山の質疑の中、この質問には真摯に答えるべきなのかもしれない。



俺が答えるべきなのか。準備は何もしていない。だけど分かる。雅紀が今日、この場所に連れてきてくれた理由が。それならやっぱり俺が。



そう考えているうちに、話し始めたのは雅紀だった。







「この先ずっと、隠れること無く隠すことなく無く櫻井翔君と一緒に生きていきたいからです。数年間生活を共にして、ようやく皆様にご報告する決心が付きました」




やばい、こんなの泣くじゃん。余裕がある、なんて思ったけど無理。今だけは、この発表の事を言ってくれてなかったことを恨む。これだけの数の報道陣の中、泣きたくなんてないのに涙が今にも溢れそうだ。




「櫻井さんからも一言頂けますか?」




おいおい、勘弁してくれよ。今答えられるわけ無いじゃん。今一言でも言葉を発したら、溢れそうな涙が一気に流れるっつーの。



でも、それでも俺が何かを言うのを待つ顔を見るとどうにかしないとと思うのがこの世界に長くいる性なのかな。







「すみません。私からも少しいいでしょうか」



本当にタイミングが抜群。助けられてるなと日々思うのは、今日も。




「横からすみません。本日は二人のためにありがとうございます。ええ…この数年ですね、一番近いところで二人のことを見てきました。最初は自分も驚きましたが、今の相葉と櫻井を見ていて二人の決断に間違いはないと言い切れます。それは大野、二宮も同じ想いです。どうか、暖かく二人のことを見守って頂けたらと思います」




そう言って潤が俺たちのために深く深く頭を下げた。