「……翔ちゃん……上手すぎ……」
そんな筈はない。初めてするんだから。そう思いながらも、相葉君の気持ちよさげな声を聞いて上がる俺のテンションはそのまま欲に繋がった。
夢中になっていた行為に時間を感じなかったけど、どうやら相葉君も速攻だったらしい。
位置的な問題なのかもしれないけれど、俺に口でされながら揺れ始めた相葉君の腰の動きはまるで セッ クス その物だと思ってしまったら俺も、また。
「どんだけた溜まってたのさ」
お互いが 果て てから冷たい床の上にふたり並んで寝転んだタイミングでそう聞かれても仕方がないのは、俺の腹の上に飛んだ 液 体のせい。
「聞くなよ。これでもめちゃくちゃ恥ずかしいんだから。ってお前もじゃん?飲み込むのやばかったよ?」
「量?味?だからさ、出してよかったのに」
「……それは……そうかもだけど」
「なら、どうして頑張ってくれたの?」
なんて狡い事聞くなよ。
「……嫌じゃなかったから……」
そう思いながらも何故か素直に出た言葉に相葉君が嬉しそうに笑う。
「ふふ、嬉しいな」
固く冷たい床に寝転んでいるのに、俺を包む相葉君の腕が暖かくて居心地が最高だ。
「嬉しいなら良かったけど」
「うん。めちゃくちゃ嬉しいよ?苦しい思いさせちゃったのはごめんだけど。でもごめんね?オレ後悔ゼロ」
「後悔……か。俺も、無いな」
「良かった。引かれてたらどうしようかと思った」
「ほんとかよ。余裕っぽくみえたけど?」
芸能とは違うかもしれないけれど、今となっては超注目のアスリートなんだ。色んな意味で目を付けられることが多いだろう。その中には男同士のこんな要求もあったのかもしれない。
「翔ちゃんこそ。全然抵抗しなかったね」
って、まぁ、それはそうだけど。それはだって当然じゃん。この仕事を始める前からずっと想っていた人からのを拒む選択なんて無かった。想像すらイケナイと思っていた俺的にはかなり驚きはしたけれど。
「……もしかして抵抗されたかったの?」
え?まさかそっち系?抵抗されるのが好きだったり?無理矢理系?いや、その割に変な事はしてこなかったと思うけど。それならそれで、次回は……なんて。
「いや、そうじゃなくて。でも普通抵抗しない?男が迫って来たんだよ?オレ的に抵抗されるの覚悟で行ったんだけど……」
「嘘だろ、めちゃくちゃ余裕かましてたじゃねぇか」
「そんな事ないよ?これでもすごく緊張したんだけどなぁ」
「いやいやいや、めちゃくちゃ余裕かましてたね。ってそれに乗った俺も俺だけど」
なんて、驚きや戸惑いもあったけど、それよりも喜びの方が大きかったくせに。
「翔ちゃんがそう感じたのは、抵抗はされると思ったけど、拒否はされないだろうって思ってたからかな」
「それを余裕かましてたって言うんじゃねぇの?」
「ふふ」
「何の笑いだよ」
「だって」
「だって?」
「だって翔ちゃん、ずーーっとオレのことスキでしょ?」
まだ誰も注目してなかったオレの事をいつも見に来てくれてたよね、と言った相葉君が
「見つけてくれてありがと。大好きだよ」
真っ直ぐに俺を見ながら、そのスポーツをするには綺麗すぎる手で、俺の頭を撫でた。