love is 32 | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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「声でかすぎ」



そうは言われたけど、それほどの衝撃なんだから仕方ないだろうと言いたくなる。




だけど考えてみれば紹介してくれと言われただけ。




仕事関係かもしれないし、友人としてかもしれない。もしかしたら趣味関係の何かかもしれないのに。



彼と弟との事で頭がいっぱいになっている今の俺には、大野が言う紹介という言葉が、イコールで恋愛に繋がってしまった。








「ごめん。確かに驚きすぎた」




勝手に恋愛のそれだと思い込んででかい声を出してしまったけど。世の中そんな関係性ばかりでは無いことくらい分かっている。だから今の俺は過剰に反応しすぎ。




「良いけどさ、流石にここででかい声はね」




そりゃそうだ。だって俺は今職場の自分のデスクにいる訳だから。





「マジでごめん。で、紹介って言うけど、どういう事?」




仕事関係での紹介と言うなら、二宮の名前が俺の耳にも入っても良さそうだけど。それに二宮からも聞いたことがない。そもそも二宮の仕事と俺の仕事の共通点は無いと思っている。




「ちょっとした集まりで会ったんだけど。話の流れで仕事聞かれて答えたらさ、知ってる奴がいるって言っててさ」



どうやら会話のひとつとして俺の名前が出たらしい。これだけ付き合いが長いんだ。両者から俺の名前が出たとしても不思議なことでは全くない。





「なるほど。二宮なら言うだろうな。って、もうそれって知り合いレベルじゃねぇの?流れで連絡先聞けただろ?」




俺の名前まで出たんだから、何となくイメージとしては話が進みそうだし、必要とあれば連絡先の交換くらい簡単だろう。





「なんて言うか……。ガード固そうに見えてさ。で、連絡先聞けなかったってわけ」



「ガード?」



「いやぁ、ほら。なんて言うかさ。……聞いたのにかわされたら落ち込むじゃん?」



「は?」



「聞こうか悩んだんだよ?だけどさ、ほら、教えて貰えなかったらショックっつーか」




なんの集まりか知らないけれど、意気投合して連絡先するなんてこのご時世簡単だと思うのは間違いなのか?なんて、人の事だからそう思えるのかもしれない。自分の事は完璧に棚にあげている。彼の家には行ったのに、連絡先を知るどころが名前だって聞くのに時間がかかったくせに。





「ショックってなんだよ」



「櫻井ならショックじゃない?」



「んー。ショックってなんで?どんな集まりかわかんねぇからなんとも言えないけどさ、友達とかとしてだろ?別にその感じなら聞けそうな気もするけど」



「だからそれが聞けなかったんだって」



「んー、例えばそれが恋愛として狙ってる相手にだったら逆に聞けないし、聞いてスルーされたらショックだとは思うけど」




自分で答えてみて思うけど、恋愛の感情では無い限り断られるかもしれないと思う事すらないし、もし断られたとしてもそんなにショックではないと思うんだけど。





「だよなぁ、やっぱショックだよな」



「いや、だからさ。それは狙ったやつの場合だぞ?」



「ん、分かってるって」



「あのさ……確かめるけどさ。それってさ、もしかしてだけど二宮の事、恋愛的な何かだったりするわけ?」




直球過ぎたかなと思うけど、大野の発言はそれにしか聞こえない。それにもしかしたら俺はそうであったら良いと思ったのかもしれない。男の事で頭を悩ませているのが俺だけではないと思いたいから。





「わかんねぇ。だけどピンと来た」



「ピンと?」



「ん。この人と一緒にいる事が自分は幸せなんじゃないかって思っちゃったんだよね」





たった数分話しただけなのに変だよね、と言う柔らかい大野らしい笑顔を見て、その表情が何となく良くて。





「……分かるよ」





自分の状況と少しだけ重なった。