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西アフリカのカカオ豆農場での児童労働

西アフリカのカカオ豆農場での児童労働について、
英国支部からニュース・リリースが出ました。

英国支部発のニュース・リリースであることからこのニュースの翻訳を公式なものとはしません。
ご参考にとどめておいてください。
以上の点をことわっていただければ、転送は構いません。

ニュースはこのURLに↓
http://www.amnesty.org.uk/news_details.asp?NewsID=17323

西アフリカ: チョコレート - アムネスティ・インターナショナルがカカオ業界での子どもの強制労働
の継続に警報

掲載日: 04 April 2007

西アフリカのカカオ畑での子どもの強制労働の継続と、自発的な事業倫理規定の再破綻

チョコレートの消費量が熱狂的に増えるイースターを間近に、世界最大のチョコレート会社が5年以上
前に誓った供給源での子どもの強制労働を根絶するという誓約にもかかわらず、西アフリカのカカオ
豆農場での子どもの強制労働がまだ続いているという新しいレポートに、アムネスティ・インターナ
ショナルは懸念を表明した。

最近行われた BBC の特別調査によると、世界の全カカオ生産量の約半分を生産している西アフリカの
コートジボワールでは、通常子どもがカカオ豆農場で働いている。そこでは、10歳の幼い子どもが学
校から隔離され、収穫用のなたを持ち、足にけがをしても未処置のままでいる。

2001年に世界的な激しい抗議と米国議会からの警告を受け、世界のチョコレート業界は、 カカオ・プ
ロトコルとして知られている協定に署名し、そこで西アフリカでの子どもの強制労働の問題を公に認
め、問題改善の監督を行う国際基金の設立を含め、段階的にこの問題を取り除くことにコミットし
た。アムネスティ・インターナショナルは英国のチョコレート企業も参加している国際カカオ・イニ
シアティブの設立にもかかわらず、西アフリカのカカオ豆農場では子どもの人権侵害がまだ存続して
いることに関心を示している。 

アムネスティ・インターナショナルは、イギリスの消費者は子どもを搾取することで作られた製品を
買いたくはないだろうと信じている。人権団体は、チョコレート会社がカカオ・プロトコルの下に約
束を守り、その製品が子どもの強制労働によるチョコレートではないようにすべきだと呼びかけてい
る。

「消費者は自分が購入するものに人権がどう影響するのか関心があるとアムネスティは信じてい
る。」
「英国は一人当たりのチョコレートの消費量がヨーロッパで二番目に高い国だが、イギリスの消費者
のチョコレートに対する信頼は、業界が真剣にカカオの供給源での子どもの搾取を根絶しようとしな
い限り色あせてしてしまうだろう。」

「カカオ・プロトコルのような自発的なイニシアティブは、実施してこそ意味がある。もしチョコ
レート業界が今後も約束を破りつづけるなら、人権尊重の確立のためには、すべての企業に対してよ
り厳しい基準を求める役割を果たすことになるだろう。」と、英国アムネスティのベネデッタ・レイ
シーは語った。

2004年に出された国際労働機関のレポートは、西アフリカ地域にあるカカオ生産地の1500に渡る農場
を視察し、子どもがなたを使って畑を開き、殺虫剤を散布し、カカオを収穫してカカオ豆を取り出し
ているのを確認した。この仕事には25万人以上の子どもが従事しており、そのうちおよそ3分の2は14
歳以下である。その多くが一日に12時間従事させられ、ほかの子どもたちとは異なり、まず学校へも
行っていない。また一部の子どもは人身売買により、子ども奴隷としてカカオ豆農場で働いていると
いう証拠も見つかっている。

世界的なカカオ豆産業は毎年51億ドルにもなる。2005年にはフェアトレードのチョコレートは全世界
で11億ドルの売り上げで、年度毎に37%もの伸びを示しており、これは消費者が搾取による製品でな
いと確証できる商品を希望しているということになる。

英国で一人当たりのチョコレート消費量は、ヨーロッパで二番目の高さであり、金額にして40億ポン
ドを毎年消費している。世界的にカカオ豆産業は大きな利益を得ており、毎年3%ずつ伸びている。

アムネスティ・インターナショナルは、多くのビジネスと人権の自主的なイニシアティブの多くは、
彼らの主張が行動によって支えられていないため信頼性にかけるということを懸念している。つま
り、こういったイニシアティブを持つ自発性とは、人権を守ることが企業の善意によるものとされ、
人権が侵害されていたとしても救済の手段を持ちえないことを意味する。よってアムネスティ・イン
ターナショナルはグローバルに実施できる基準を取り決め、全ての企業が人権の責任に関してその基
準に沿うように要求している。

1. BBC Newsnight および BBC ニュース ウェブサイトの特別報告での、このレポートを含むカカオ産
業での子どもの搾取についての情報 (http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/6517695.stm
) 

2. 国際労働財団による2004年度の農業における子どもの労働についての報告書
(http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/publ/download/factsheets/fs_cocoa_0304.pdf
と引用元の国際熱帯農業研究所 の調査書 
(http://www.globalexchange.org/campaigns/fairtrade/cocoa/IITACocoaResearch.pdf
) 
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