『他人の不幸を喜ぶ感情「シャーデンフロイデ」度の測り方』
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多くの人は即座に認めようとはしないだろうが、「シャーデンフロイデ」、つまり、「人の不幸は蜜の味」的な感情は、ひそかな喜びの源になりうる。
シャーデンフロイデとは、ドイツ語のシャーデン(害もしくは損害)とフロイデ(喜び)を組み合わせたもので、「他人の不幸を目にしたときに感じる喜び」を表す。
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この言葉そのものを直訳した英単語はないが、この語が表す現象は、言語や地理の境界を越える。
私たちは誰もが、他人の失敗や屈辱を──たいていはこっそり──おもしろがったり、ひとときの喜びとして感じた経験を持っている。
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だが、心理学者たちは今、この行儀の悪い、罪深い喜びにスポットライトを当てつつある。
自分の「シャーデンフロイデ度」を測れるスケールもつくられている。
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■シャーデンフロイデとは何か? どんなときに感じるのか?
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シャーデンフロイデは、一般的には眉をひそめられる感情なので、時には自分も他人の不幸を大いに喜ぶ可能性があると認めるのは難しいかもしれない。
そこで、『Personality And Individual Differences』誌に掲載された研究で提示されているシナリオを考えてみよう。
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あなたは、職場での長い一日を終えて、車で帰宅している。あなたの車のうしろに、裕福なビジネスマンの運転する高級スポーツカーがぴったりくっついてきたと想像してほしい。
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ビジネスマンはしばらくのあいだ、あなたの車のすぐ後ろから離れず、あなたが煽られているように感じる受動攻撃的な運転をしたあと、あなたを追い越し、前方の信号を突っ切っていく。
そこで突然、スピード違反監視カメラのフラッシュがあなたの目に入る。
ビジネスマンはスピード違反の現場を押さえられたのだ。
後日、多額の罰金を通告する書簡を受けとることになるだろう。
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あなたがこんなシナリオを体験したら、どんな気持ちになるだろうか?
同情して、気の毒にと思うだろうか?
それとも、いくらか満足したり、おもしろがったり、喜んだりするだろうか? 
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後者の感情は「他人の不幸を目にしたときに感じる喜び」であり、シャーデンフロイデの典型的な例だ。
そして、そんなふうに感じるのは異常なことではないだろう。
シャーデンフロイデはありふれた感情であり、そうした感情を抱いたからといって、あなたがひどい人間というわけではない。
つまるところ、どんなときに、どういう理由でそれを感じるか、ということが重要なのだ。
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隠しカメラを設置し、街の人々にちょっとしたいたずらをする『ジャスト・フォー・ラフス・ギャグズ(Just For Laughs Gags)』や、4人がお互いに恥をかかせようと競うリアリティ・ショー『インプラクティカル・ジョーカーズ(Impractical Jokers)』といった番組の人気は、誰もが、場合によってはシャーデンフロイデ的感情にふけることがある、という事実を浮き彫りにしている。
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時として、他の人が屈辱的な不幸に陥ったのを見て「良い気分」になることは、あるだろう。
だが、こうした罪深い喜びにあまりふけりすぎると、問題になることがある。
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* 「シャーデンフロイデ度」の測り方は?
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前述の研究では、反社会的・犯罪的な行動傾向の背景にある、「ダークトライアド」と呼ばれる三つ組みのパーソナリティ特性(マキャベリズム=権謀術数主義、ナルシシズム=自己愛症、サイコパシー=精神病質)の強さが、シャーデンフロイデ度の強さと関連することを強調している。
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この研究論文の著者らによれば、ダークトライアドの傾向が強い人は、反社会的行動をとることが多く、それによって生じた「他の人の不幸」から、より大きな喜びを感じるという。
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■「シャーデンフロイデ度」の測り方
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シャーデンフロイデの複雑な性質が認識されはじめたことで、研究者らは目下、その複雑さをさらに掘り下げようとしている。
『PLOS ONE』に掲載されたある研究では、この独特な感情体験のスペクトルを定量化するスケールが考案されている。
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12項目からなるこのスケールは、他の人の不幸を見て自然に喜びを感じる可能性のある状況を述べた文を提示し、その文にどれくらい同意するかで、シャーデンフロイデ度を評価するというものだ。
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1. 人が転倒する動画を楽しんで見る。
2. 登場人物が身体的に痛い思いをするドタバタ・コメディを楽しんで見る。
3. 転んだ人を助け起こす前に、その人を笑ったことがある。
4. 「ものすごくバツの悪い瞬間」の話を楽しんで読む。
5. 歩いている人が、閉まっている透明なガラスドアにぶつかるのは愉快だ。
6. 笑いものになっている人を見るのは愉快だと思う。
7. 他の人が低い成績をつけられるとうれしい。
8. 他の人が散々な一日を過ごしているのを見るのが好きだ。
9. 他の人のコンピューターがクラッシュするのを見るのは楽しい。
10. 成功した人がクビになるのを見るのが好きだ。
11. 他の人の失敗に喜びを感じる。
12. 誰かがギリギリでバスに乗り遅れたのを見て笑う。
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このスケールを使うことで、他の人の不幸に対する反応にまつわる複雑さを解き明かすことが可能になる。
シャーデンフロイデ度の強さを理解すれば、人間の心理に関する貴重な見識が得られるだろう。
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著者の言葉を借りれば、「シャーデンフロイデの特性のなかには、まったく無害な面もあれば、本質的に有害な面もある」。
人生におけるちょっとした不運をこっそり笑うのは問題ないだろうが、その一方で、自分のシャーデンフロイデ度をきちんと意識し、チェックすることが必要だ。
そうすれば、そうした「こっそり」が、他の人の失墜や苦痛をあからさまに喜ぶ気持ちに変わってしまうのを防ぐことができる。
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境界線上にある「笑い」の瞬間について常に意識し、自分自身に対して、「これは無害な笑いなのか、それとも、悪意の領域に踏みこもうとしているのか?」と問うようにしたい。
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■まとめ
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シャーデンフロイデにはカタルシス効果もあるが、度を越すと、ペシミストや冷笑家、あるいは、もっと邪悪な存在になってしまうおそれもある。
少しでも思いやりをもつように気をつけることが大事だ。
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人生というホームコメディのなかでは、不器用な登場人物がいたら、その人の立場になって考えてみよう。
他の人の失敗を楽しむのではなく、喜びをわかちあう快さを選ぶことを忘れないようにしよう。
バランスのとれたユーモアは、心を明るく保ってくれるはずだ。
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(ForbesJAPAN)
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『ダークトライアドの傾向が強い人は、反社会的行動をとることが多く、それによって生じた「他の人の不幸」から、より大きな喜びを感じるという。』
パーソナリティ特性(マキャベリズム=権謀術数主義、ナルシシズム=自己愛症、サイコパシー=精神病質)の強さが、シャーデンフロイデ度の強さと関連するのだね。
劣等意識が強いほど、「他人の不幸は密の味」「隣の不幸が一番の幸せ」となる。
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追伸:

小雨の中、フィールに行った。

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追伸2:
庭を散策して、西と東のビオトープ(メダカ・ミナミヌマエビ・タニシ・カワニナ)の水面の落ち葉をトングで挟んで庭に撒いた。
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追伸3:
2007年米映画「ゾディアック」をまた観た。
<1969年の夏。
カリフォルニアで立て続けに2件の猟奇殺人が発生し、サンフランシスコの新聞社に犯人を名乗る男から手紙が届く。
自らを“ゾディアック”と名乗る犯人は、謎めいた暗号文と犯人しか知りえない情報を書き記していた。
新聞記者のポール(ロバート・ダウニー・Jr)、風刺漫画家のロバート(ジェイク・ジレンホール)らはゾディアックの謎に魅了され、暗号の解読に熱中する。
一方、刑事のデイブ( マーク・ラファロ)とビル(アンソニー・エドワーズ)も事件の捜査に乗り出し…。
実在の未解決事件に基づく至高のサスペンス。>
1980年生まれカリフォルニア州出身の俳優ジェイク・ギレンホール主演の実話を基にしたスリラー映画だね。
1967年生まれウィスコンシン州出身の俳優マーク・ラファロも出ている。
1965年生まれニューヨーク州出身の俳優ロバート・ダウニー・Jr.も出ている。
1962年生まれカリフォルニア州出身の俳優アンソニー・エドワーズも出ている。
1946年生まれスコットランド出身の俳優ブライアン・コックスも出ている。
監督は、「ゴーン・ガール」「ドラゴン・タトゥーの女」などのデヴィッド・フィンチャー。
カリフォルニア州サンフランシスコで、1960年代後半に実際に起きた連続殺人事件を映画化。
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追伸4:
今日、風呂に入りながら聴いたアルバムは、
「The Stars of Country Music: 15 Original Albums & Bonus Tracks (2015)DISC4(ハンク・ウィリアムズ 1961)」(2~5)
1923年生まれアラバマ州出身のカントリー・シンガーソングライター。
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