『「ちゃんとしている」と思われがちな「日本人」が、じつは「全然ちゃんとしていないこと」』
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NHK BSの人気番組『cool japan』の司会者として、世界を旅する演劇人として、人気脚本・演出家が世界の人々と聞いて議論した。
世界の人々が日本を体験して感じた「クール!」と「クール?」と「クレイジー!」 これを知れば、日本がもっと楽しくなる! 
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*本記事は鴻上 尚史『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』(講談社現代新書)の内容を一部抜粋・再編集したものです。
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* 「ちゃんとする」の基準
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日本人がストレスを感じるのは、「言いたいことを言わない」というのもあると思いますが、「ちゃんとする」という使命感が原因だとも思います。
「ちゃんと」しようとする、ネガティブに言えば強迫観念か刷り込みです。
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僕がイギリスに住んでいる時、秋の終わりの一週間、奇跡的に良い天気が続きました。
ロンドンとは思えないぐらい青空で、みんな昼休みに公園でサンドイッチなどの昼食を取り、のんびりと過ごしました。
結果、銀行や郵便局、会社などの午後の開始時間が遅れている、とテレビのBBCニュースになりました。
テレビのキャスターは、半笑いしながら、「イギリス経済に影響が出ている」と伝えていました。
しようがない、というニュアンスです。
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僕は「ちゃんとしていると思われているイギリス国民でも、天気が良ければ一時間の昼休みを一時間一五分とか一時間半とかに勝手に延ばすんだから、スペインとかイタリアとかのラテン系の国はどうなるんだろう?」と震えました。
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あなたも知っているように、日本人はこんなことは絶対にないです。
どんなに天気が良くても、一時間の昼休みは一時間です。
そもそも、接客業で従業員が一斉に昼休みを取るなんてことはありえないでしょう。
交代で昼休みを取って、「ちゃんと」働きます。
お客さんのためには、自分の空腹は簡単に犠牲にするのです。
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スペイン人がJRの八月分の時刻表を見て、しみじみと「スペインでこの雑誌を作ろうと思ったら、八月まる一ヵ月かけてもまだ出来上がらないだろう」と断言しました。
八月の時刻表は、一〇月ぐらいに完成すると言うのです。
ちゃんとしようと思ったら、それぐらいの時間がかかる。
だから作らない、と言うのです
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ラテン系の人たちは「ちゃんとする」という使命感がないのかなあ、だからストレスがたまらないのかなあと思っていたら、番組に出ていたイタリア人女性が、数ヵ月前に日本人男性と結婚したばかりで、愛についてじつに「ちゃんとする」要求をしていました。
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彼女は「愛している」と毎日言うことは当たり前だと当然のように言いました。
もちろん、毎日、キスするのも当たり前です。
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夫の日本人男性がスタジオに見学に来ていたので、思わず「大変でしょう」と同情の声で話しかけると「いえ、勉強ですから」と、じつに日本人らしい言い方で微笑みました。
さすが「生涯学習」の日本人だと、僕は唸りました。
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僕が三八歳でイギリスの演劇学校に留学した時に、「一生勉強ですから」と理由を言ったら、イギリス人が真顔で「勉強に来たと言ったら、お前のことを周りは低く見る。
お前は、日本で二〇年近く演出家のキャリアを積んでいるんだろう。
そういう人間は、『勉強』のために来たと言ってはいけない。
『調査(リサーチ)』のために来たと言え。
この違いは大きい」とアドバイスしてくれました。
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日本人からすると、「一生、勉強を続ける」が普通ですが、それだと未熟な人だと思われてしまうのです。
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さて、イタリア人女性に、「愛してると言い忘れたり、結婚記念日とか誕生日とかを忘れたら離婚なの?」と訊くと、「離婚する時は、私に好きな人ができた時だけ。
それ以外は、プレゼントをもらうの。
それでいいの」と当然のように言いました。
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日本人男性に「プレゼントだそうですよ」と話を振ると、「はい。もう何回か渡しました」と答えました。
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「ちゃんとしてない」というイメージのラテン系のイタリア人ですが(いえ、イメージですけどね)、恋愛に関してはじつに「ちゃんとしている」と思いました。
恋愛には「サプライズ」が必要で、そのためにはいろんなことを考え、用意するイタリア人は、じつに細かいのです。
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「ちゃんとする」ことにさんざん気を遣い、喫茶店に入ればお水とおしぼりが自動的に出てくるという世界に例のないシステムを作り、劇場では芝居が終わった後に、「お忘れ物がないようにお気をつけてお帰りください」という劇世界の余韻をいっぺんにぶち壊し現実に引き戻すようなアナウンスまでして観客を心配する日本人は、けれど、恋愛においては、毎日「愛してる」などとは言わず、おでかけのキスもせず、誕生日にサプライズを用意することもなく、結婚記念日は自然と忘れていくのです。
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全然、「ちゃんと」していません。
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まるで「日本人は時間を守るって言うけど?だよ。
だって、終業時間を誰も守ってないもの。
会社は六時までだっていうのに、みんな、八時とか九時までダラダラいるよ」と困惑する外国人の言葉みたいです。
なにを「ちゃんとして」なにを「ちゃんとしない」かの、大きなズレがあるのです。
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さらに連載記事<日本の「アイスコーヒー」、じつは「外国人」には「衝撃的」だった…!  その「意外なワケ」>では、「アイスコーヒー」が外国人に与えた衝撃について、詳しく解説しています。
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(現代ビジネス)
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『日本人は時間を守るって言うけど?だよ。だって、終業時間を誰も守ってないもの。
会社は六時までだっていうのに、みんな、八時とか九時までダラダラいるよ』
ちゃんとしてないね。
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追伸:
庭を散策して、西と東のビオトープ(メダカ・ミナミヌマエビ・タニシ・カワニナ)の水面の落ち葉をトングで挟んで庭に撒いた。
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元錦鯉(ヒメダカ・ヌマエビ)に水足しをした。
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水車池(マゴイ・ワキン・フナ・ウグイ・カワムツ・オイカワ・タナゴ・モツゴ・ドジョウ・メダカ・ザリガニ・カニ・エビ)に水を足した。
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追伸2:
今日、風呂に入りながら聴いたアルバムは、
「ティナ・ターナー クイーン・オブ・ロックンロール(2023)」DISC3(1~4)
1939年生まれテネシー州出身のロック・シンガー。
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追伸3:
2005年米映画「トリプルX ネクスト・レベル」をまたまた観た。
<争いごととは無縁に見えるのどかな牧場。
その地下にあるNSA(国家安全保障局)の秘密基地が、ある日、正体不明の敵の襲撃を受けた。
この襲撃で多くの仲間を失ったNSA局員ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)は、事件の真相を探るため、かつて自分の部下であったダリアス(アイス・キューブ)をシークレット・エージェント“トリプルX”に起用して捜査を進める。
だが黒幕は予想以上に強大で、2人は国家転覆を狙う大きな陰謀に巻き込まれていく…。>
1969年生まれカリフォルニア州出身のラッパー、アイス・キューブ主演のスパイ・アクション映画だね。
1948年生まれワシントンD.C.出身の俳優サミュエル・L・ジャクソンも出ている。
1955年生まれウィスコンシン州出身の俳優ウィレム・デフォーも出ている。
1975年生まれアラバマ州出身の女優サニー・メイブリーも出ている。
1975年生まれイングランド出身の俳優スコット・スピードマンも出ている。
監督は、「007/ダイ・アナザー・デイ」「NEXT -ネクスト-」などのリー・タマホリ。
型破りなシークレットエージェント「トリプルX」の活躍を描くスパイアクションの第2弾。
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