『Levi'sの謎ライン「RED」とは何か?
コレクター集団が超解説』
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リーバイス 。
言わずと知れたジーンズの世界的ブランドだ。
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1853年に創業し、1873年に現在のジーンズの原型を完成させる。
アパレルの一大ジャンルの原点であり、歴史そのもの。
これほどファッションに影響を与えたブランドは今後生まれ得ないのではないか。
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それゆえリーバイスは複雑怪奇と言えるファッションの楽しみを生み出してきた。
素材、染め、縫製、セルビッジ、リベットなどのディテール一つひとつからジーンズの魅力は宇宙的な広がりを持って世界の愛好家を熱狂させている。
501XX、大戦モデルなどのヴィンテージ、最新のデザイナーズコラボ、別注や店舗限定販売を集め続けるコレクターはある意味でリーバイス自身よりもリーバイスを知っている。
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なかでも超がつくほど謎の多いラインがある。
それが「リーバイス R?レッド」通称「RED」だ。
本記事ではコレクター集団「REDの会」に取材を実施。
実物を多数紹介しながら、公式情報が存在しないジーンズの深みへと潜ってみた。
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※記事内画像はすべて「REDの会」提供
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* Levi’s公式もアーカイブ不可能?「謎のデニム」
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「RED」は1999年にスタートしたリーバイスの特殊なシリーズである。
毎シーズン新作が発表されていたが2009年にリリースを停止。
その後断続的に復活・復刻があり、最新リリースは2022年だ。
日本のリーバイス公式サイトには現在(記事執筆時)も2021年AWコレクションのページが存在するが、ラインそのものの説明はほぼ書かれていない。
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しかしその製品群は一着一着が驚くべき多様性を持っていると「REDの会」は話す。

「『RED』は主に1年(SS、AWシーズン)ごとにデザインテイストがまったくと言っていいほど変わるのです。
しかも毎回きわめて実験的なジーンズが発表されてきました」
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公式では情報がアーカイブされていないのか。
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「詳細は不明ですがアーカイブ不可能なのではないかと思います。
数冊の非売品のプレスブックがありますが、そこにもすべてのモデルは掲載されていません。
というのもリーバイスは各国に現地法人があり、それぞれが独自に『RED』を企画してきました。
宣伝も販売網も国ごとに全然違う。そのため全体像を把握できないのではないかと」
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アーカイブという概念すらない時代から続く巨大なグローバルブランドだからなのか。
そこで「REDの会」は自らREDの年表を作ろうとしている。
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「私たちは各メンバーが100着以上の『RED』を所有していますが、それでも全種類を把握できているとは考えていません。
いまだに新しい個体が発見されることがある。
まだ見たことのない『RED』があるんです」
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* 驚異のコレクターネットワーク
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「REDの会」は現在9名。
うち女性1人を含み、リーバイス関係者はいない。
製品や情報はどのように集めているのか。
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「販売当時の『RED』は生産数と取扱店が非常に限られている希少性も特徴でした。
国内遠征は当たり前。
スペインに『RED』を扱う有名店があり、そこへ寄るために新婚旅行の行き先をスペインにしたメンバーもいます。
それでも当時は売れ残ってセールになっていることもありました。
もちろん買い占めるわけですが(笑)」
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「ほとんどのモデルが販売終了した現在では、フリマアプリ、オークション、古着屋のサイトを掘ります。
1時間ごとにメルカリを見ているメンバーもいます。
情報収集はリーバイスの店舗スタッフから話を聞くこともありますが、ウワサ程度です。
有用なのは主に個人ブログやSNS。
国内外でリリースを発見すればすぐにメンバーでシェアし、Instagramで海外のコレクターや関係者と繋がり情報交換することも。
『RED』はユーロ圏発祥であるため海外ガチ勢の情報は特に濃いですね」
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国境を超えた草の根活動だ。
メディアの取材記事はないのだろうか。
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「ほぼ存在しません。
2021年に海外のジーンズ専門メディアで1度だけ『RED』のデザインリーダー(リッキー・コフ氏)のインタビューが行われ、英語記事を発見したときは湧きに湧きましたね。
それ以外ではストレートに『RED』の歴史を取材した記事はありません」
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中心的なデザイナーはリッキー・コフ氏とマイルス・ジョンソン氏と言われるが、2人ともメディア露出を控え「RED」を語ることを避けてきた。
マーケティング視点で見ても異質であり、コレクターたちに挑戦しているようにも思える。
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* 1999年の革命
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次に「RED」の代表的なモデルについて聞いた。
2009年に発足した「REDの会」のメンバーは30~50代まで世代に幅があり「RED」とのファーストコンタクトの年齢は異なるが、全員が口を揃える最高傑作は1999年~2000年の「Twisted RED」通称「1STコレクション」だ。
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「最大の特徴は立体裁断で膝部分が内側に大きくねじれたシルエットです。
これを見たときの衝撃は忘れられません。
取材記事によればリーバイスは『1ST』のために3Dデザインを体制化し、コットンの代替品として注目されていたヘンプ混のデニム生地も開発したようです」
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「1ST」はシルエットも素材感も一般的なデニムとまったく異なっていた。
「501」に代表される5ポケットジーンズが突然変異したようなたたずまい。
しかし脚を通すと包まれるようなリラックス感があり上質な履き心地だ。
なかでも特に象徴的なモデルがあるという。
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「1STコレクションの一着『3RD SIGNATURE JEAN』です。
これは『501』に『1ST STANDARD』のシルエットが白線で書かれ『501』のシルエットやポケット位置をどう変化させるか示した設計図のようなデザインになっています。
さらに『1ST STANDARD』にも『501』のシルエットが書かれた『BLUE LINE』というモデルがあるのです。
『RED』のコンセプトを体現していてたまらないですね」
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ブランドのレガシーの大胆な再解釈、テクノロジーの活用、サステナブル素材、ハンドクラフト。
現在のラグジュアリーの要素を1999年の時点ですでに備えている。
「RED」はリーバイスが自ら生み出した「ジーンズ」という日常着をプレミアムなアイテムとして再発明するためのプロジェクトだったのである。
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* ジーンズの実験精神と美意識
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「RED」の実験性と芸術性はその後のモデルでますます加速する。
「REDの会」が所有する数百着のなかから一押しのモデルを聞いた。
いずれも激レアだ。
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「RED」の実験性と芸術性はその後のモデルでますます加速する。
「REDの会」が所有する数百着のなかから一押しのモデルを聞いた。
いずれも激レアだ。
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・HOWARD(2004年)
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「1st」と並んで「RED」を代表するモデル「ハワード」。
「Strapped(溶接工)」「Blown In(建設作業員)」の職人が着古した状態を再現した超絶技巧の色落ち加工が施される。
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・PASSIVE AGGRESSIVE(2001年)
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3Dフィットにジップを走らせたロックテイストな1本。
無数のスタッズが打ち込まれたバージョンなども存在。
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・Bags(2007年)
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深い股上と極端に短い膝下丈。
個性派揃いの「RED」のなかでも痛快なまでのアンチフィット。
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・All in One(2008年)
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『RED』にはジーンズ以外にもシャツやジャケットなどのアイテムが存在する。
特にツナギはポケット、ボタン、ベルトループ、襟などフェティッシュなこだわりが全身に広がる。
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モデル名は、All in One(2008)、BARTHOLOMEW(2003)、COVERALL(2021)。
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・BOWLEG/GUYS JACKET(2007年)
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腕と脚部分が弓のように大きく湾曲したセットアップ。
奇抜なシルエットに見えるが、着た時のシワの入り方が計算され尽くしている。
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・FenG CHen WANG×Levi'sRed(2021年)
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珍しいデザイナーズコラボ。
スナップボタンで腕が脱着したり、ジャケットを重ねて縫いつけたようなデザイン。
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* 「RED」と日本
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「RED」はリーバイスのユーロ企画からスタートしたが、じつは日本と深い関わりを持っているという。
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「リッキー・コフ氏はインタビューで『RED』誕生は日本市場が背景にあったと言っています。
『1ST』の特徴であるヘンプ混デニムは日本の企業が開発し、しかも初期ロットは『本藍』で染められています。
いつかデニムの生産地に行って『RED』誕生当時の話を聞けたら最高ですね」
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初期のREDは「赤耳」ならぬ「緑耳」=グリーンステッチのセルビッジ。
日本の職人が織った特殊なデニムだ。
日本企画でも「RED」の名品が存在する。
2006年から数年間リリースされた「日本製RED」は海外コレクターにとっては謎多きシリーズだ。
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それだけではない。
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「2020年にジュンヤワタナベ・コムデギャルソンマンがリーバイスとコラボし『RED』を思わせるデニムを出しています。
デザインがそっくりで復刻に近い。
これは予想ですが『RED』が休止していた時期にそのデザインを埋もれさせたくなかったのでは」
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思えばヴィンテージデニムという趣味も日本で生まれた。
『RED』がいまでも日本で愛されているのは当然のことなのかもしれない。
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* 開拓者と発掘者
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最後に「また『RED』がリリースされるなら、どんなジーンズが見たいか」と聞いてみた。
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「1ST」の復刻...まったく新しいデザイン...。
会のメンバーからは口々に意見が挙がり論争となる。
コレクターにとって「RED」の発掘は続いている。
マーケティングが加熱し、あらゆるトレンドは爆速で時代遅れになっていく。
そのスピードにすこし疲れ気味の人もいるかもしれない。
その一方で「RED」はアマチュアのコレクターが公式すら知らない情報を独占している、深すぎる服の世界を教えてくれた。
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そこにはマーケティングの思惑を軽々と超えるユーザーの情熱がある。
やはりファッションは着る人のためのものだ。
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■取材協力:REDの会
・ichijo1100氏(会長)
・マスターテン氏
・わんこ氏
・ミッキー氏
・Kazuo氏
・KOJI氏
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その他、REDの会メンバー
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(FASHION TECH NEWS)
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ジーンズは50年前の中学生の時からはいた。
今でも20年前のリーバース504は持っている。
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追伸:
庭を散策して、西と東のビオトープ(メダカ・ミナミヌマエビ・タニシ・カワニナ)の水面の落ち葉をトングで挟んで庭に撒いた。
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追伸2:
今日、風呂に入りながら聴いたアルバムは、
「ドリー・パートン ロックスター(2023)」DISC2(11~14)
1946年生まれテネシー州出身のカントリー・シンガー。
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追伸3:
2002年米映画「山猫は眠らない2 狙撃手の掟」をまたまた…観た。
<伝説の狙撃手とされる元海兵隊員ベケット(トム・ベレンジャー)は今や軍を退き、狩猟者相手のガイドとして生計を立てていた。
そんな彼の前に軍の情報士官(リンデン・アシュビー)やCIA(ダン・バトラー)が現われ、ある任務を依頼してくる。
彼らの情報によるとバルカン半島のある国で、イスラム教徒の抹殺作戦が進行中だという。
ベケットに課せられた任務とは、民族浄化計画の首謀者ヴァルストリア将軍(ペテル・リンカ)の暗殺だった。
ベケットは、除隊前の階級を復活させることを条件に任務を引き受けるが……。>
1949年生まれイリノイ州出身の俳優トム・ベレンジャー主演の戦争アクション映画だね。
1973年生まれニューヨーク州出身の俳優ボキーム・ウッドバインも出ている。
1972年生まれハンガリー出身の女優エリカ・マロージャンも出ている。
1959年生まれカンガリー出身の俳優タマス・プスカも出ている。
1954年生まれインディアナ州出身の俳優ダン・バトラーも出ている。
監督は、「ダークエンジェル」「プレッシャー 壊れた男」などのグレイグ・R・バクスリー。
ストイックかつ緊迫感あふれる語り口とミリタリー系マニアも納得の綿密な銃器考証で人気の正統派アクション・シリーズ「山猫は眠らない」の第2弾。
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