給食で死ぬ!

食育のカリスマ校長。大塚貢氏のお話を紹介します。

 

大塚貢校長が就任した長野県の中学校は、
とても荒れていて、

廊下をバイクで走り抜ける生徒もいました。
床にはタイヤ跡が焦げ付き、

に酷い状態でした。

校舎の内外に落ちているタバコの吸い殻を

集めると1~2時間でバケツ一杯に

なる程でした。

生徒が授業を抜け出し、

外で群れてタバコを吸ったり、

弱い者いじめをして、

現金を巻き上げたり・・・。

(中略)

はっきり言うと、

生徒が荒れる原因のひとつは、

先生の授業にもあるのです。

素晴らしい先生もいましたが、

中には授業がつまらない

先生もいたのです。

生徒たちはそんな授業を受けても、

内容が頭に入らず、

まともに聞いていません。

退屈だから授業を抜け出し、

事件を起こす生徒が出てきます。

(中略)

・・・どうしたら、この悪循環から

抜け出すことが出来るか・・。

あれこれ考えた末に、

ともかく授業を改革することを決意しました。

(そこで、先生たちが授業を見せ合って、
お互いに切磋琢磨して、

分かる・出来る・楽しい授業を目指して、
改善に取り組んだのです!)

このように、教師側の努力によって、
授業が改善されていきました。

その結果、子どもの様子も変わり、
机に伏していたのが、

ビシッとした姿勢になり、

教室を抜け出す子供も少なくなりました。

 

非行の起きる割合が少なくなり、
学校にも来なかった不登校の生徒たちも
登校するように
なってきました。

しかし、まだまだ何らかの事件が

度々起きます。

いじめの問題が起きたり、

キレる子がいたり、
学習に無気力な子供たちもいました。

せっかく授業が魅力的になっても、
問題が起きるのは、どこかに何らかの

原因がある筈です。

 

ところで、中学校では運動会は

ありませんが、水泳大会や陸上大会、

柔道や剣道、バレーやバスケ等の

競技会があります。

 

これらの大会で気づいたのは、

お昼にコンビニ弁当やカップラーメンを

食べている生徒がいたことです。

 

コンビニ弁当では、「頑張ってね」

という母の愛が感じられないのです。

 

そこで思い立って、或る競技大会の
朝5時から会場近くのコンビニ前で

張り込むようにして子どもたちの様子を
見る事にしました。

 

すると親子が次々とやってきました。

車で乗り付けて、コンビニ弁当など、
その日に食べるものを

買って行きました。彼らの買ったものは、
コンビニ弁当、カップラーメン、

菓子パン、清涼飲料水などです。

このような生徒の多くは、
おしなべて問題を抱えた子供たちでした。

非行問題を起こしていたり、

いじめる側であったり、
キレやすく、
学習に無気力といった子が
多かったのです。

(中略)

そこで私は、本格的に子どもたちの
食の現状調査を始めました。

生徒の38%が朝食を摂らずに学校に

来ていました。

さらに食べてきたとしても、菓子パン、

ハム、ウィンナー、

化学薬品で味付けされたジュースなど。
朝にそういうものを摂る子が、

夕食には、レトルトカレーや
焼き肉が多いというデータでした。

この食の調査は、2週間以上かけて

詳しく行いました。

(中略)

子供たちのこんな現状が分かり、
PTAの会合を開き、食生活の重要性など

について説明会を開いても、

若いお母様方は、聞く耳を持たず、

特に飛行を起こしている子供の親御さんほど、
まるで理解してくれません!

「家庭で難しいなら、
学校で食を変えるしかない!」

と私は一大決心をせざるえなくなりました。

 

しかし、この改革は一筋縄では

いきませんでした。

それまでの給食は、菓子パン、
揚げパン、中華麺、スパゲッティ等

があり、みんな大好きでした。

それでは家庭と学校の食事が
殆ど同じ
なので、
まずは主食をご飯にして、
副食も魚や野菜たっぷりのものに

変えようと考えました。
 

カルシウム、マグネシウムたっぷりの
イワシの甘露煮は、
試食の段階で
教師にも生徒にも

「こんなもの、食べられるか!」

猛反対に遭いました。

 

あるとき栄養士のI先生が、
32歳で心筋梗塞で亡くなった人の

心臓の生体写真を借りて来て、
教師と保護者と生徒に見せてくれました。

写真は、動脈にコレステロールが

真っ白く付着し、石膏状態で、

心臓周りにも沢山の脂肪がついていました。

その為、心臓は正常に収縮できない、
動脈の動きも不能になって
いたのでした。

それを見せて、
「若くして死にたかったら、

このままの食事を摂れ!

ただし、その責任は持たないぞ!」
と言いました。

そこから、食の改善に理解を示す
先生や生徒が増えてきました。

そして、1週間の
5食すべて(の給食)を米飯に
切り替えることを決断しました。

すると少しずつ、やがてはっきりと、
子供たちに変化が、
見えてきたのです!

休み時間になると、子供たちが、

みな図書館に行って本を読むように

なりました。

荒れていた時代は、図書の紛失が
年間400冊もあったのに、

熱心に本が読まれるようになってからは
、紛失がゼロか1になりました。

米飯給食に変えてから起きた
もう
1つの変化は、生徒が、

「全国小・中学校作文コンクール」で
毎年のように1位か2位に入選する

ようになったことです。

食の改善と共に取り込んだのは、

「花づくり」でした。

荒れている学校に赴任するたびに感じるのは、

【学校に潤いが無い】【心を癒すものがない】

ということで、生徒の心は渇き切っています。

そこで花づくりを始めました。

メインの花壇は、サッカーや野球のボール

入る場所で、どうしてこんな場所に

校長は花壇を作るのか?

と反対も出ました。

最初は、ボールが入り花が列をなして折れ、

緑化委員会の生徒は泣き顔になりました。

校長は夜遅く、毎日のように

折れた花を植え替え、

春花壇が綺麗に咲きました。
 

そして7月初旬には遥か団が

まだ残っていても、

早めに秋花壇の苗に植え替え、

夏が過ぎ、秋花壇が次第に綺麗に咲き出すと、

生徒の姿勢が徐々に変わり、
ボールが花壇に入らなくなりました。

 

水やりについても、
積極的に行わなかった生徒たちが、

いざ花が綺麗に咲くと、変わるものです。

何故、生徒たちに変化が起きたかというと、

生徒自身にやらせたことが大きいです。
自らが汗まみれで
土をつくり、
堆肥をつくり、
種をまいて育てていますから、

花が咲くと美しさをしみじみと
感じるようになります。



 

 

言わなくてもきちんと水をやるようになり、
2年目からは、
全国花壇コンクールで
毎年のように受賞するようになりました。

 

キレる子供たちの

心には潤いがありません。

ところが、花壇に花が咲いてくると
嬉しい事に変化が見られました

花づくりに取り組み始めて、
1年が終わるころには、あれほど沢山あった

タバコの吸い殻が殆どなくなりました。
ついには1本も無くなったのです!

さらに、2年目の終わりころには

非行による事件が殆どゼロになり、

不登校の生徒が40~50人もいたのに、
完全不登校が2名にまで
減りました。

不登校が減ったのにはイジメが
無くなったことが間違いなく影響しています。

さらに、生徒は自分から
勉強するようになりました。

先生方の努力で

「分かる・出来る・楽しい授業」になり、

授業の内容を皆が良く理解するように

なりました。

このように花壇作りと給食で、
いつの間にかあらゆる面で

変わってきたのです。

 

 

まとめ

給食の材料から厳選して安全な材料を!
という事で、
苦労をして調達し、
学校で食べる給食を変え、

授業を改善し、花づくりをしたことで、
アトピーの子供も良くなり、

非行が無くなり、イジメがなくなり、
不登校が殆どなくなり、

学校全体の学力もあがり、
親の意識も変化していったそうです。

※米飯は、発芽玄米をミックスした

ものを提供。

もともと悪い子なんていないのかも

知れません。

非行は、心を癒す環境と、
身体を癒す食べ物があれば、

無くなる事が分かりました。

荒れたままの学校で非行に走り、
食も改善される事もないまま育った生徒が、

もしそのまま大人になっていたら、

どんな未来が待っていたでしょう?

道を間違っていたかも知れません。

若くして大病をしていたかも知れません。

非常に考えさせられるお話でした。

もっと詳しく知りたい方は、

「給食で死ぬ」という本を
読んでみてください。

 

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