俺はすかさずアイコンタクトを全員に送る。


さりげなくマツイがダーツに手につける。


一瞬、殺気のような冷たい視線を感じたように思えた…


気のせいか…


マツイと俺とべーが自然にダーツで遊ぶ。


そう、ごく自然に。


的確に的を狙う。


決してミスショットは許されない。


何かがそう俺らに感じさせていた。


だが、驚くべきスピードでその何かがぶち壊れた。


一瞬だった。


オグラがトイレと言って席を外そうとして、扉に手をかけた一瞬。


後ろを向いたその一瞬。


ノーサインからのマツイの奇襲。


野球で鍛え上げた右腕から放たれた奇襲の狼煙は、ダーツの的を大きく外して壁に突き刺さった。


想定外。


俺の脳による状況判断より先に奴が動いた。


魔物降臨。


装填。


そして発射。


ここにいる全員がまだ状況を把握しきれていない。


マツイの左ももを黄色い球が撃ち抜く。


マツイによる2投目。


2投目も奴のミスショットコレクションの仲間入りをはたす。


魔物が吠えた。


連続射撃装填レベル5。


『マツイ、もうやめろ。このままじゃお前が…!!』


やっと神経と神経が合致して思考回路が復活。


マツイは床に丸まっていた。


魔物は不敵な笑みを浮かべ、マツイを撃ち続ける。


完全にイッている。


マツイは逆手から腕を横に振り抜いた。


最後の抵抗、そして渾身の一発。


が、マツイの肩は相当撃ち抜かれていた。


惜しくも壁手前で落ち、垂直に床にささる…


マツイ戦闘不能により離脱。


マツイはこの日、奴の部屋の床に初めてミスショットコレクションを作った英雄となる。


続く。





敗北から1週間。


再戦の時がやって来た…


勝てるかどうかはわからない。


だが、俺らは挑む。


俺らはこの日の為に増援を呼んだ。


選抜されたメンバーは俺とべーに加え、

史上最強いじられキャラ・ハナシマ

暴走機関車・マツイ

狂犬・ヒロシ


これは我が中学が誇る最強パーティー。


俺らの思いは1つ…


打倒オグラ。


決戦はこの間と同時刻。


坂を下り、曲がり角にチャリを置く。


細い道の先の行き止まり。


魔物の巣。


斬り込み隊長マツイが迷いもなくインターフォンを押す。


扉がゆっくりと開いた。


魔物再臨。


俺らは奴の部屋にもてなされた。


いつも通りだ。


想定内。


奴の部屋は筋トレグッズ、ベッドに机、シンプルな部屋だ。


ただひとつ、他の家にはないモノがひとつ…


本格的なダーツ。


壁には無数の段ボールに囲まれた的。


そして無数の穴があいている段ボール回りの壁が数々のミスショットを物語っていた。


俺らはそれに目をつけた。


続く。









細い道を歩く二人。


次の一歩を踏んだ瞬間、家で感じたような何かが俺を一瞬で不安に突き落とす。


絶対領域。


べーの肩が何かに撃ち抜かれる。


どこからか憎悪に満ち溢れた冷たい視線を感じた。


続けて俺の肩も撃ち抜かれる。


見つけた。


細長い家の二階の窓からチャイニーズマフィアのようなサングラスをかけて、上半身だけを乗り出した奴がいた。


手には黒のエアガン。


表情が俺らへの憤怒を悟っている。


バレていたのか…
ポケモンふりかけ…


連射。


べーの手癖が疾風の速さだとすると、奴の装填の速さは雷神の如し。


18禁レベル。


俺らはいろんな部位を撃ち抜かれた。


絶体絶命。


べーは危険を察知し、ポケモンふりかけを置いて逃げる。


続けて俺も逃げる。


敗北。


あの噂は本当だった。


俺らは再戦を決意した。


今度こそ…


続く。