俺はすかさずアイコンタクトを全員に送る。
さりげなくマツイがダーツに手につける。
一瞬、殺気のような冷たい視線を感じたように思えた…
気のせいか…
マツイと俺とべーが自然にダーツで遊ぶ。
そう、ごく自然に。
的確に的を狙う。
決してミスショットは許されない。
何かがそう俺らに感じさせていた。
だが、驚くべきスピードでその何かがぶち壊れた。
一瞬だった。
オグラがトイレと言って席を外そうとして、扉に手をかけた一瞬。
後ろを向いたその一瞬。
ノーサインからのマツイの奇襲。
野球で鍛え上げた右腕から放たれた奇襲の狼煙は、ダーツの的を大きく外して壁に突き刺さった。
想定外。
俺の脳による状況判断より先に奴が動いた。
魔物降臨。
装填。
そして発射。
ここにいる全員がまだ状況を把握しきれていない。
マツイの左ももを黄色い球が撃ち抜く。
マツイによる2投目。
2投目も奴のミスショットコレクションの仲間入りをはたす。
魔物が吠えた。
連続射撃装填レベル5。
『マツイ、もうやめろ。このままじゃお前が…!!』
やっと神経と神経が合致して思考回路が復活。
マツイは床に丸まっていた。
魔物は不敵な笑みを浮かべ、マツイを撃ち続ける。
完全にイッている。
マツイは逆手から腕を横に振り抜いた。
最後の抵抗、そして渾身の一発。
が、マツイの肩は相当撃ち抜かれていた。
惜しくも壁手前で落ち、垂直に床にささる…
マツイ戦闘不能により離脱。
マツイはこの日、奴の部屋の床に初めてミスショットコレクションを作った英雄となる。
続く。