昨日に引き続き、仕事関連の作業をそのままセコく、ブログネタとして流用させて頂きます。
問題4.
定格電圧 100V 定格消費電力1kWの電熱器の電熱線が全長の10%のところで断線したので, その部分を除き, 残りの90%の部分を 電圧 100Vで1時間使用した場合、発生する 熱量 [k]]を求めよ。
ただし, 電熱線の温度による抵抗の変化は無視するものとする。
★答え(以下の4つから選びなさい)★
(解答へのアプローチ例)
まず押さえておくべきことは、交流回路で負荷全体にかかる電圧がV[V]で、負荷に流れる電流がI[A]のとき、両者の積を皮相電力S[VA]と呼び、
問題4の回路のように負荷が「電熱器」と設定されている場合は、負荷の要素は純粋な電気抵抗R[Ω]だけなので、貰った皮相電力S[VA]は全て発熱仕事をする有効電力P[W]になるので、力率 cosθが100[%](cosθ=1)の回路と呼べる……ということである。
※皮相電力を表す 式は
S[VA]=P[W]÷(cosθ[%]÷100) である。
※逆に有効電力を表す 式は
P[W]=S[VA]×(cosθ[%]÷100) である。
次に押さえておくべきことは、今回は電気エネルギーが電熱線で発生させるジュール熱 kJ を求めるのが目的なので、
ジュール J という単位は、電力(仕事率)P[W]と時間(秒)t[Sec]の積と同じ
であるという事。 つまり、
J =W・S (ジュールはワット・秒)でも表現できる…ということ。
さて、まず断線する前の電熱線の抵抗値の計算は、
P[W]=(V^2[V])÷R[Ω] の式を変形して、
R[Ω]=(100[V]^2)÷1000[W] となり、
R=10[Ω] だとわかる。
素材と断面積が同じ金属の抵抗値は、その導体の長さに比例するので、
全長が90[%]に減った後の、電熱線の抵抗値Rafterは
10[Ω]×0.9=9[Ω] である。
この抵抗値を持つ電熱線に定格の100[V]を加えると
100[V]÷9[Ω]≒11[A] の電流が流れる。
その時の電熱線の P[W]は、I^2・R の式を用いて、
11^2×9 = 121 × 9 = 1089[W] ≒ 1.09[kW]
となり、使用した1時間を秒換算した 3600[Sec] と掛けると、ジュール熱が求まる。
1.09[kW] × 3600 [s]= 3920.4[kWs]=3920.4[kJ]
となり、解答選択肢の中では一番近い ハ.4000[kJ]が答えとなる。
問題5.
下図のような三相交流回路において、 電源電圧は200V、 抵抗は4Ω、 リアクタンスは 3Ωである。 回路の全消費電力 [kW]を求めよ。
★答え(以下の4つから選びなさい)★
(解答へのアプローチ例)
まず 基本知識として、三相交流回路の 消費電力 P[W] を求める基本公式は、
3φP[W] = √3×線間電圧VL[V]×線路電流IL[A]×力率cosθ となり、
この公式は回路の接続形態が スター結線でも デルタ結線でも同じ式で使用できる。
ただし、今回は別アプローチとして、 まず1相の 相電流IP[A] を求めたあとで、
1相分の発熱 1φP[W] = IP^2×R[Ω] を求めて、それを3倍(3相分)にする方法を採用したい。
まず、1相の相電流は 交流回路のオームの法則により
相電圧VP[V] ÷1相の合成インピーダンスZ[Ω] で求まるので、
その式を利用して、
相電圧VP[V]は、線間電圧VL[V]を√3で割った値になるので、
VP[V]=VL[V]/√3 と置く…①
次にインピーダンスZ[Ω]は、抵抗成分3つを三辺に持つ直角三角形を考えて、三平方の定理でt解いても良いが、 今回は3辺のうち2辺にあたる 底辺の長さが4(抵抗値R[Ω])で、高さが3(リアクタンスXL[Ω])だと わかっているので、未知の斜辺の長さに当たるインピーダンスZ[Ω]は、定理を利用するまでも無く 3対4対5 の良く出題される比率になっているので、斜辺に当たるインピーダンスZ の大きさは 5[Ω]…② と分かる。
①と②の値を使って、
線路電流IL=相電流IP=相電圧VP[V]÷合成インピーダンスZ[Ω]
⇔ 相電流IP=(VL[V]/√3)÷合成インピーダンスZ[Ω]
⇔ 相電流IP=(200/√3)÷5
⇔ 相電流IP=200/5√3
相電流IP=40/√3…③が求まる
ここで、1相分の1φP[W]は 相電流IP[A]の2乗×抵抗Rの4[Ω]で求まり、それを3相分に増やすと回路全体の消費電力になるので、そのような式に当てはめると、
((40/√3)^2)×4[Ω]×3相分
=1600÷3×4×3(単位を省略してます)
=1600×4
=6400[W]÷1000(単位の接頭辞kキロを付けるために1000で割ります)
=6.4[kW]
となり、解答選択肢の中では ハ.6.40[kW]が答えとなる。
問題6.
下図のような単相3線式配電線路において、負荷抵抗は10Ω 一定である。
スイッチ A を閉じ、 スイッチBを開いているとき、図中 の電圧Vは 100Vであった。
この状態から スイッチBを閉じた場合、 電圧Vはどのように変化するかを4つの選択肢の中から1つ選んで答えよ。
ただし、電源電圧は一定であり、電線1線当たり の抵抗 [Ω] は 3線とも等しいものとする。
★答え(以下の4つから選びなさい)★
(解答へのアプローチ例)
まず問題の単相3線回路について、線路の名を
「上段を外線L1」、
「中段を中性線N」、
「下段を外線L2」 と呼ぶことにする。
回路全体を見渡し、A,Bそれぞれのスイッチを閉じた場合を想像すると、上段の外線L1と中性線Nで構成される単相2線回路の負荷も、中段の中性線Nと下段L2で構成される単相2線回路の負荷も 共に10[Ω] と等しい大きさなので、A,Bの両スイッチを閉じた場合には、この単相三線回路全体は「平衡状態」が成立し、中性線Nの電流値 IN[A] はゼロアンペアになる。
次に、最初の条件である「スイッチAを閉じて、スイッチBを開いている時」には、上側の回路だけが閉回路となって線路に電流I[A]が流れる。
この時、上側回路の負荷10[Ω]の両端には 100[V]の受端電圧Vが現れると提示されているので、線路に流れる電流 I[A] は
100[V]÷10[Ω]=10[A]…①
と求まる。
また、その時には 電源の送端電圧が 104[V] と提示されているので、
電源から負荷に流れていく電流 I[A]と上段の外線L1の線路抵抗r[Ω]との積にあたる「電圧降下が生じるし、負荷から電源に戻っていく電流I[A]と中段の中性線Nの線路抵抗r[Ω]との積にあたる「電圧降下」も生じる。
線路で発生した電圧降下 e[V]は、
e[V]=104[V]-100[V]=4[V]と求められ、 それは行きと戻り2線分の電圧降下を合わせた値なので、
後であたえた条件である「上のこの状態からBスイッチを閉じた時」に、受端電圧V[V]がどのように変化するか?という設問なので、 後の条件では平衡状態が成立して、先の2線分の電圧降下4[V]が、中性線Nに電流が流れなくなることから、外線L1 の1線分の電圧降下だけになるので、4[V]の半分の2[V]に電圧降下は減少する。 これは受端電圧が2[V]上昇する結果を産む。
従って、解答選択肢の中では ロ.約2「v]上がる が答えとなる
執筆者への愛のムチを
頂けましたら幸甚です