小説「ある日の大石内蔵助」で芥川龍之介が用いた用語の脚注を拾う雨爺さん~♪ | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

昨年の眉誘亭さろん様のブログで「大石内蔵助を一日で読める本」として紹介されていた2冊の本、いずれもネットを利用させて頂いて やっと読み終わったのですが、まずは 芥川龍之介の作品「ある日の大石内蔵助」を読み終わった感想を書いてみようと思います。

宝石赤宝石緑宝石ブルー宝石紫

早熟の天才文士 芥川龍之介が誕生したのは明治25年(1892年)で、日清戦争開戦の2年前でした。 そして日露戦争は明治37年(1904年)ですから、尋常小学校を卒業して、東京府立第三中学校に入ってからの殆どは日露戦争色に染まった中学生時代だったみたいですね。

 

その後の、第一高等学校から東京帝国大学まで「英文科」に籍を置いて、東京帝大在学中の1914年(大正3年)2月に一高時代のクラスメイトであった菊池寛や久米正雄らとともに同人誌『新思潮』(第3次)を刊行し、海外文学の翻訳を発表した後、処女作「老年」を発表しています。

宝石赤宝石緑宝石ブルー宝石紫

「或る日の大石内蔵助」は芥川龍之介が1917年(大正6年)に発表した小品ですから彼の25歳頃の作品になります。

赤穂義士は主君の仇討本懐を遂げた後、幕府によって四十七士が各4大名家に分けられてお預けとなるのですが、芥川が綴る物語では、肥後熊本藩主細川綱利の屋敷に預けられた大石良雄と同輩たちの姿、特に大石に関しては後世に向けた彼の思いのたけを芥川の逞しい想像力が明々と文中に写しだしています。

 

小品ながら、読み始めると至る所に芥川らしい表現が頻出し、加えて如何にも明治生まれの文人らしい和製漢語をよく使うので、巻末の注釈と本文を往復しながら読み進むのも楽しかったですね。

 

自分たちの復讐の挙が、義挙として士族のみならず江戸の町人にまで評価され、かたき討ちが流行しているという噂まで聞かされた大石には、後世の評価が如何なる形で定まるのかという不安が生まれてきます。

さらには復讐決行の日を迎えるまで、吉良や上杉の間諜の目を謀るために山科・京洛で放蕩に耽る偽りの姿を演じていた…と肥後侍から評価されるにおいては、なろうことならばそのまま放蕩に包まれて余生を送りたくもあった大石良雄の本心が、鉛を飲まされたように苦しくなる心模様が描かれたりもします。

大正時代にこのような 義士と祭り上げられる大石の姿や心中を描いている作品を読んでしまうと「やっぱり芥川龍之介はすごいなぁ」と改めて敬愛の念が浮かびました。

宝石赤宝石緑宝石ブルー宝石紫

 

そして、私には漢籍にそのまま存在する語なのか、また、昔からの大和言葉の漢語系として存在するのか、それとも和製漢語なのかが全く判らないのですが、上の方でも書いたように、これまでの人生で観たこともない、

「槎枒(さが)たる老木の梅の影」
なんてセンテンスが冒頭の一行目でいきなり出てくるんですねうーん

以下、岩波文庫版から転記紹介させて頂くように、

用語解説の脚注がどっさりとあるんです!笑い泣き

(1)槎枒(さが)

 木の枝が、そいだように角ばって立って入り混じっているさま。
 

(2) 浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)

 赤穂城主で、元禄十四年(一七〇一年) 三月十四日、天皇の使者の接待のとき、殿中で吉良上野介に傷を負わせ、その日のうちに切腹、領地を没収された。
 

(3)大石内蔵助良雄(おおいしくらのすけよしお/よしたか) 
 浅野家の家老・赤穂浪士の頭領(1659~1703年)。主君のあだをうつために、同志とともに、元禄十五年十二月十四日の夜、吉良邸に討ち入り、志をとげた。翌年二月四日、切腹した。
 

(4)三国志
 中国の歴史書。六十五巻からなる。
 

(5)かわや
 便所のこと。
 

(6)消息
 ここでは手紙のこと。
 

(7)しわぶき
 咳ばらい。
 

(8)極月
 十二月のこと。
 

(9)泉岳寺(せんがくじ)
 東京都港区高輪にある寺。浅野内匠頭と四十七士の幕がある。
 

(10)客気(かっき)
 激しやすい意気。血気。
 

(11)讐家(しゅうか)
 かたきの家。かたき
 

(12)細作(さいさく)※この言葉はIMEでは出ません
 間者。スパイ。
 

(13) 山科(やましな)や円山(まるやま)
 ともに京都の地名。
 

(14)苦衷(くちゅう)
 苦しい心の中。
 

(15)公儀(こうぎ)
 幕府のこと。
 

(16)紺屋(こんや)
 染めもの屋。
 

(17)風馬牛(ふうばぎゅう)

  自分と関係のないこと。
 

(18)背馳(はいち)
 そむくこと。ゆきちがうこと。
 

(19)故旧(こきゅう)
 古いなじみ。ずっと以前からの知合い。
 

(20)太平記
 室町時代に作られた戦記物語。
 

(21)小身者(しょうしんもの)
 身分の低い者。俸禄の少ない者。
 

(22)人畜生(にんちくしょう)
 畜生(けだもの)のような行いをする、義理も人情もわきまえぬ人間。

(23)慷慨家(こうがいか)
 正義に外れたことなどを、悲しみ、ふんがいする人。
 

(24)たわけ者
 ばか者。
 

(25)寡黙(かもく)
 ことば数の少ないこと。


(26)禄盗人(ろくぬすびと)
 「禄」とは、役人や武士が受ける俸給。つまり、給料をもらって仕事をしない者に対する悪口。
(27)詰め腹(つめばら)
 他から強いられて切腹すること。
 

(28)乱臣賊子(らんしんぞくし)
 主君にそむく臣下や、むほん人。
 

(29)罵殺(ばさつ)
 さんざんにののしり、やっつけること。罵倒に同じ。


(30)向背(こうはい)
 従うことと、そむくこと。 なりゆき。


(31)世故(せこ)
 世の中の風俗・習慣など。
 

(32)披瀝(ひれき)
 心の中の考えをつつむことなく、打ち明けること。
 

(33)肥後侍(ひござむらい)
 「肥後」は今の熊本県地方。

 

(34)もろこし
 支那・中国のこと。
 

(35)逸聞(いつぶん)
 世につたわらぬ、めずらしい話。
 

(36)高尾や愛宕(あたご)
 ともに京都の地名で、もみじの名所。つぎにある島原や祇園も京都の町の名。
 

(37)佯狂(ようきょう)
 常軌を逸したふりをすること。狂気をいつわり、よそおうこと。
 

(38)苦肉
 敵をだます手段として、自分の身の苦しみをかえりみないこと。
 

(39)張りぬき石
 張り子の石。
 

(40)京都勤番(きょうときんばん)
 京都の留守居。当時は京都に朝廷があったので、各藩は、侍を交替で京都においていた。
 

(41)推服(すいふく)
 ある人をうやまって、その人に服従すること。
 

(42)通人(つうじん)
 世の物事をよく知っている人。粋人。


(43)太夫(たゆう)
 いちばん位の高い遊女。
 

(44)きゃらの油
 鬢付け油(びんつけあぶら)の一種。


(45)加賀節(かがぶし)
 江戸時代に流行した小歌。


(46)歴々(れきれき)
 はっきり見てとれるさま。


(47)駘蕩(たいとう)
 のびのびしたようす。のどかなこと。
 

(48)的皪(てきれき)
 あざやかに、白く輝くさま。


(49)象嵌(ぞうがん)
 金属・木材などに、模様などをきざみこんで、そこに金・銀などをはめこむこと。

笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き

私は、例えば、(48)的皪(てきれき)なんていう和製漢語も、64年近く生きてきて、初めて見ました。

皆さんは 初めてご覧になるような「ことば」はありましたでしょうか?ガーン

宝石赤宝石緑宝石ブルー宝石紫

執筆者への愛のムチを

頂けましたら幸甚ですニコ

にほんブログ村 芸能ブログ エンターテインメントへ
にほんブログ