前回の(その1)では、入れ墨を中心のお話で、漢字でいうと「入」と「彫」に関連する話題で終わりましたが、性行為のお話、漢字でいうと「掘」に関連するお話は全く書いていません。
それに「彫」の方に関しても、「Tatooの先の世界」については まだ書いていません。
そこで、それらの事どもを(その2)として書いてみたいと思います。
まず、漢字で「掘る/掘られる」と表現してみると、私の場合は前回も書いたように男性と男性のカップルの行為が脳内に浮かびます。
英語圏ならばLGBTの「G(Gay)」の世界であり、日本に昔からある単語を用いれば「オカマ(お釜)」の世界の情景と言えます。
ここで またまた寄り道します
読売テレビで1987年4月から11年間放送されていた『鶴瓶・上岡パペポTV』という60分のトーク番組がありました。
番組名通りに笑福亭鶴瓶さんと上岡龍太郎さんのお二方が、台本なしで愉快な話を聞かせてくれる 番組で、一旦終了した後も、番組体制を一新して1998年7月から2000年春、上岡龍太郎さんが芸能界引退をされるまで別の番組名で続きました。
上記ご両人の600回を超えるトークの中で、いつだったか失念しましたが、「オカマ」の話題が出た時に、
上岡さんが、
『鶴瓶ちゃん、あれ、なんでオカマって言うか知ってる?』
と言いだして、鶴瓶さんから返事が返らないのを確認すると、立て板に水の如く解説が始まりました。
以下、私のキーボード入力では正確な再現が出来ないと言いますか、随分昔の記憶なので私の脳内で勝手に膨らましたり、改編したり…というような具合になっていることを先にお詫びしておきます。
ただし、およそ「こんな意味の事を上岡さんはおっしゃいました」という点は外していないと思っています。
『昔、僕が子供の頃に田舎なんか行くとね、家の土間を入ったところにへっついさん、つまりかまど、今でいうコンロみたいなのがあってね、コンロと違うのは入交山とかで刈取ってきた柴や薪を燃料にして火を起こすんやね。 鶴瓶ちゃんは落語でそんな話もするでしょ。 で、へっついさんの形状はいたってシンプルで、粘土や石、木なんかでドームのような薪を燃やすスペースを作って、手前には燃料の薪なんかを放り込む口を開けてあって、真上には鉄釜や鉄鍋を乗せて下から上がる火炎を当てられるような大きな穴を開けてるんやね』
などと説明されます。
これはモダンな石材と煉瓦づくりのへっついさんです
さらに上岡さんは続けて、
『そうして、そこで炊飯する為の羽釜と言うのがあるでしょ? 本体の中段あたりにへっついさんの上の火穴に釜が落ちひんように周囲にグルーっと羽根がついててね、その下側、中底ちゅうたり真底っちゅうたりするねんけど、使う方はその底が「まぁるい形をして、下に在る」ところが似てるっちゅうので、「尻(しり)」とか、汚いけど「ケツ」とか呼んだりもしてたんやね。
で、釜を使うときには(へっついさんに)尻から入れる…ということで、尻から入れる(アナルセックスの事)性嗜好者を「オカマ」と言うようになった…と僕は他所で聞いたけどね』
・・・のようなお話をされたんですね。
その鉄の釜を「掘る」と言う表現も凄いなぁ…と私は思うのですが、この時にはもうオカマという語は「釜」のイメージを離れて、Wikipediaの解説のように「菊座(肛門)」そのものの意味で使われてるんだと思います。
だから、男根を使って「(尻の穴を)掘る」という表現になったのでしょうね。
蛇足ながら、日本のゲイ界 Gay World(芸能界ではありません)では、男根を挿入する男役を「タチ」、挿入される女役を「ウケ」と呼ぶそうです。
さて、ここからは、「彫」による「皮膚のデザイン」Tatoo、その先の事について書きましょう。
前回(その1)では、身体のあちらこちらに色とりどりのTatooを施して「タトゥ―モデル」というマニアックな分野で活躍する女性 Levy Tran さんを紹介させて頂きました。
昔の東映やくざ映画の主人公たちが背負っていたような 唐獅子牡丹だとか、倶利伽羅紋々だとか、登り龍下り龍といった入れ墨は、「怖いお兄さんたち向けのデザイン」だけれど、現在ではTatooと呼ぶ方が似合うような、メルヘンチックなデザインを肌に描く若者が増えてきました。
女性でも若い方はアクセサリーのように体に彫り込んでしまうのですね。
「彫る」と言うのは、タトゥ用の針の束がインクを皮膚の表皮に突き刺して、やがてそのインクが表皮の下の真皮にまで吸収されるような刺し傷を作るからです。
その意味で、傷は浅いのですがタトゥは「彫る」ことで皮膚のデザインをしていると言えるでしょう。
そしてもう10年以上も前から、文字通りに「彫る」というか、「切る」ことで永遠に消えない皮膚のデザインを行う人々が出現しています。 それは下の動画のように刃物を使って、皮膚を浅く切開すること、つまり切り傷を作ることから始まります。
実は私、わざと切ったわけではなく、小学低学年の頃に、誤って自転車ごと有刺鉄線の柵に突っ込んでしまったことがあり、63歳の今でも左の太ももにはその時に尖った鉄のトゲで切られた幅2~3㎜で、最長が100㎜までで長さの違う3条の傷痕が白く残っています。
皆さんの中にも、同じように望まずして後々まで残る傷痕を身体に持ってしまった方もいらっしゃることでしょう。
私の古い太もも傷の例を挙げるまでも無く、人間の皮膚に一定の深さで切り傷がつくと、治癒した時には、裂けていた部分の皮膚が盛り上がって、はっきりと目立つ傷痕になります。
この切り傷の痕(SCAR)が盛り上がる現象を利用して、タトゥーのように切り方をデザインする個性がつぎつぎと現れたわけなんですね。
傷を幅広につけた人。私なんかは、芸術性よりも「痛々しさ」の方を大きく感じます
時間が十分経ち、回復して傷痕が盛り上がった頃
ここまでくると痛々しさは薄れますが、それでも、皮膚をデザインして切った最初は無茶苦茶痛かったたろうなぁ…と想像するだけで吐きそうというか、眩暈がします。
でも実は、先に10年以上前から自分の皮膚を切る人々が出現…と書きましたが、白人系以外の他の世界、例えばアフリカ人や、南米のアマゾン原住民や、メラネシア人や、アボリジニや、インディオといった、肌の色の濃い人種や民族においては、ずううっと昔から瘢痕文身(はんこんぶんしん)と呼ばれる風習として続けられている地域があります。
これも半世紀昔にテレビドキュメンタリーの「素晴らしき世界旅行」とかで子供の私は観ていたのですが(当然、そのころは風習の名前は知りませんでした)、アマゾンの「ワニを守護神と崇めている民族」だと、男の子が一定年齢になると、カミソリの刃を使ってその子の背中にワニの皮膚、鰐皮のような模様が出るように、短い切り傷を一面につけて行くという映像記録を観たことがあります。
これは女性の背中で鰐皮模様ではありませんが見事な瘢痕文身です
白人の間ではやり始めてからは、英語で「スカーリング Scaring 傷痕づけ」とか「スカリフィケーションScarification」などと呼ばれています。
我が知識の友、OpenAI社のChatGPTに「スカリフィケーション・デザイン Scarification Design」について教えて~ とたずねると、
『
それは、傷痕を残すことでデザインを作るボディアートの一形態です。伝統的なタトゥーやピアスとは異なる方法で、肌を傷つけることで模様やデザインを作り出します。
ただし、このプロセスは、専門のアーティストや医療専門家によって行われるべきであり、衛生的な環境で行われることが重要です。
スカリフィケーションは、文化的な儀式や宗教的な儀式において行われることがあり、一部の部族や文化にとっては重要な象徴的な意味を持つ場合があります。
ただし、スカリフィケーションは一般的には非常に痛みが伴い、感染症やその他のリスクが伴うため、専門的な施術者によって行われることが強く推奨されます。
また、健康や法的な理由から、スカリフィケーションは一部の地域で禁止されている場合があります。したがって、興味を持っている場合は、法律や規制についても事前に調査することが重要です。
最終的には、スカリフィケーションを行うかどうかは個人の選択であり、十分な情報を得た上で決断することが重要です。 以上。
』
といった回答で、くれぐれも衛生観念を持って慎重に!…みたいなアドバイスが繰り返されました。
そういうこともあって、今回は 『Scarification Design のサンプル写真』を殆ど此処には貼り付けてません。 ご興味のある方は 上のピンク文字にGoogle検索後のアドレスを貼り付けていますので、 ピンク文字をクリックしてジャンプしてみてください。
それじゃあ、あた ました!
執筆者への愛のムチを
頂けましたら幸甚です